デイリーアーカイブ Oct 26, 2024

5Linksの開発秘話から見る日本の自転車産業の空洞化

かつて自転車産業は日本が中心となっていたが、プラザ合意後の円高等により工場の海外移転などにより自転車産業の中心は台湾となったと言われている。自分みたいなユーザーにとって、工場の海外移転がどのような影響を与えるのがあまりわからないが、5Links2のブログを見ると、工場の移転により日本では自転車関連のモノづくりが衰退しているようだ。 アルミ製の折りたたみ自転車は「中国」か「台湾」でしか量産製造はできない 「デザインコンセプト」10 日本発の自転車とは・・・ / 5LINKS - ファイブリンクスでは、当初は日本製の折りたたみ自転車を製作しようとしたが、上手くいかない話がある。 いろいろな経緯があり、現在の私の師匠である「絹自転車」のA氏に出会うと、 「「中国」か「台湾」でしかアルミ製折り畳み自転車の量産製造はできない」 とのアドバイスをいただき、彼の工場で鉄製の構造試作車を作ってもらった後に、「台湾・中国行脚」OEM工場探しを始めたのでした。着想から4年後、2006年頃の話です。 アルミ製の折りたたみ自転車は「中国」か「台湾」でしか量産製造はできないというのは、エンドユーザーから見ると衝撃的な話だ。 台湾だと条件付きで容易に部品を作ってくれる 日本でCAD図面を使って、CNCで作ることもできますが、大量に作る場合は別にしても、少量であればかなりのコストがかかります。 以前に記載したように、台湾で開発するということは、他の量産車にも使用できる可能性のあるパーツであれば、「アルミの加工工場さん」は喜んで?作ってくれるわけです。その代わりオープンモールド(公開され他社が使ってもいいパーツ)となりますが。 「日々是改善」(ひびこれかいぜん)2 防水キャップ / 5LINKS - ファイブリンクスから引用。日本では製作を行っても製造基盤が無いため、量産数が少なくなり高価になるが、台湾だと製造基盤があるため、汎用性があり他社が使用しても良い部品なら、作ってくれるとのこと。 フレームパイプが選び放題で設計の自由度が増す から日本で「傘」(編集注:5Linksの初期のコンセプトモデル名)を作ろうとしたときに、フレームに使用するアルミ管を選択しようとしたら、単純な「円管」と「角型管」しか調達できないであろうということでシンプルな車両デザインを描いていったのですが、実際フレーム製造工場に行くと、 工場の棚(幅10m高さ3mくらいでしょうか)に、無造作に何百種類という形のチューブ(トップチューブ、ダウンチューブ等)が刺さっていて、まるでミツバチの巣のような光景を見せられたのです。 そして係の人から、「好きなパイプを選んで」と言われたのです。 変わった形状の押し出し管やハイドロフォーミング技術などを使った管が選び放題で、曲げ加工や厚み、テーパーなどもお好みで変更が効くというのです。 「デザインコンセプト」10 日本発の自転車とは・・・ / 5LINKS - ファイブリンクスから。因みに、台湾のフレームブランドのKinesisは、フレームだけでなくチューブ単位のカタログがある。ダウンチューブだけで37ページあり、様々なパイプがあるのがわかると思う。 生産国の強みはインフラを握っているということ 5Linksの開発秘話を見ると、台湾の自転車産業の強みは生産国の強みでインフラを握っていることなのではないかと思う。工場を海外に移し、生産の中心が海外になると最終的に設計から生産までのインフラを奪われ、日本で容易に生産ができなくなり消費しかできなくなる事例となるのがわかる。近年の日本は「モノづくり」を謳っているが、自転車産業は「モノづくり」を言うのは難しくなっている。安易に「モノづくり」を言う漠然としたイメージに乗るより、空洞化を行っている他の業界も「自転車産業化」してしまうのではないかと危惧したほうが良いのではないかと思う。

新たに登場したエンデュランスロードバイク FELT・VRシリーズ

2017年のFeltのロードバイクに新たに登場したシリーズにVRシリーズがある。VRシリーズは、競技用ロードバイクのFシリーズよりもアップライトな姿勢で乗れる、エンデュランスロードバイク「Zシリーズ」の進化系となっている。 FELT VR60 出典:VR60 - FELT公式サイト | フェルト ロードバイク フレームの設計は、競技用のFRシリーズよりもアップライトな姿勢で乗れ、ヘッドアングルを寝かし、ロードバイクとしてはロングホイールベースを採用し、ロードレーサーに特有のふらつきやすさを解消しているとのこと。また、シートステーブリッジを廃止し柔軟性を高めたと公式サイトの解説に書いてある。フレームとタイヤとのクリアランスは十分あるらしく、35ミリまでのタイヤを装着できる。フレームにはVRシリーズ専用フェンダーを装着可能な台座や、トップチューブはストレージボックスを装着するためのアイレットを装備しているとのことだ。 FELT VRシリーズに注目しているのは、フレームだけでなく軽いギア比があるというのもある。通常のロードバイク用のクランクは50-34Tと、リアスプロケットをマウンテンバイク並に大きい32T等を装着していても、1以下に下げることができないが、VRシリーズは全車、クランクに30~32Tと軽いギアを採用している。そのため部品を交換しなくても、ギア比が1以下を得ることができる。10万円を切るVR60のクランクの歯数は46-30Tと、非常に珍しいクランクを採用している。注目しているのは安価なモデルでも低いギア比を実現していること。従来のコンパクトクランクよりも軽いギア比を装着しているクランクは、Dixnaラ・クランクやSUGINO OXなど高価な部品では存在するが、FSAが安価な部品を出して市販車に装着したことに注目している。 公道仕様ロードバイクとして完璧なスペックだが実際はどうなのか 太いタイヤに対応可能、専用泥除けの装着が可能、乗車姿勢はロードバイクとしてはアップライト、ディスクブレーキを装備、最初から軽いギアを装備していると公道仕様ロードバイクとして完璧なスペックだが、実際の走りはどうなのかが気になる。上位モデルは高いグレードの部品を装備しているが、エントリーモデルのVR60できになる部分が幾つかある。 VR60のブレーキはPromax製を採用している。Promaxは安価なエントリーモデルのスポーツ自転車に採用されているブランドの1つだが、性能よりも価格を重視していて判断されるブランドで、実際のブレーキの効きや調節等の使い勝手はわからない。クランクはFSA Tempo Adventureで、従来のコンパクトクランクよりも軽いギア比を採用しているため、ギアの歯(チェーンリング)や、クランクのラインナップは少ないため、アップグレードの可能性は気になる。気になる部分は幾つかあるが、初心者が直ぐに楽しめる安価な公道用ロードバイクに入る1台だと思っている。   【早期予約特典ポイント5倍】フェルト VR60 2017 FELT ロードバイク 自転車 VRシリーズ【送料無料】【ワイヤーロックプレゼント】【期間限定防犯登録無料】【532P14Aug16】 posted with カエレバ 楽天市場で探す Amazonで探す Yahooショッピングで探す

Ternから新たに出たスポーティな20インチミニベロ「Crest・Surge」シリーズ

Ternといえば、折りたたみ自転車が有名だが最近では、折りたたみ自転車ではないタイプのスポーツ自転車もラインナップされている。今までは650Cホイールを採用した街乗り用スポーツ自転車が有名で、2017年モデルからは20インチのミニベロも登場するようだ。全車20インチの中でも車輪径が大きい451タイプを採用し、ロードバイク用のキャリパーブレーキを採用している。フレームはステムの移動量を大きくした設計となっており、前傾姿勢を容易に行えるフレーム設計となっており、タイヤは細くロードバイク的なミニベロとなっている。そこで今回はTernの小径車について解説してみた。 Tern Crest:¥51,000(税別)   Tern Clutchの20インチ版ともいえるのがCrest。泥除けな荷台が装着できる設計となっており、センタースタンドを標準装備している。フレームサイズは46 (150 to 165cm)50(165 to 180cm)の2種類がある。 Tern Surge:¥89,000(税別) Tern RIPの小径車版といえるモデルがSurge。RIPで採用されたエアロ形状のフレームを採用している。レース用ロードバイクでは流行のエアロ形状のフレームだが、小径車で採用されているのは珍しいだろう。前2段と多段仕様となっていて、長距離走行も可能となっている。小径車は、通常の大径車と比べて前変速機の位置が変わるためか、フロントディレイラーの位置を適正な場所にするために、変速性能を落とさないオフセット台座を装備している。フレームサイズは46 (150 to 165cm)50(165 to 180cm)の2種類がある。 Tern Surge LTD:¥198,000(税別) Surgeの各部品をグレードアップし、バトンホイールを装備したSurge Ltd。Frame Size 46は25台限定、50は50台の限定発売となるとのこと。 ストリート系の自転車はピストバイクやロードバイクなどで多くあったが、ストリート系のミニベロはTernのMiniveloシリーズが初めてだと思う。限定車のSurge Ltdは純正カスタムミニベロとも言えるだろう。TernのMiniveloシリーズは画像と簡単なスペックしか出ていないので、購入を検討している人は今後の情報をチェックしたほうがいいだろう。 出典:Tern Bicycles Japan Official Blog: 2017年ニューモデル「Non-Folding ミニベロ」 先行発表と先行限定販売のお知らせ