デイリーアーカイブ Jan 20, 2025
街乗り用マウンテンバイクのおすすめは? 代わりのお薦めはあるか?
スポーツ自転車で街乗りをするならクロスバイクが一般的だ。しかし、クロスバイクブームやロードバイクブームの前はマウンテンバイクで街乗りする人がそれなりにいた。
例えば、自転車で北海道を目指す「自転車野郎冒険講座」では、タイヤが太く安定して走れるのでマウンテンバイクを薦めている。
また、ホイチョイ・プロダクションズが手がけた映画「メッセンジャー」では、マウンテンバイクにスリックタイヤを装着したのが使われていた。
しかし、現在は街乗りでマウンテンバイクは衰退してしまった。その理由を考えてみたい。
一時期流行した街乗りマウンテンバイク
マウンテンバイクブームでは、オフロードで走らせるマウンテンバイクを街乗りで使う人が登場した。ユーザーだけでなく、メーカーも街乗り用マウンテンバイクを出すようになった。日本の自転車ブランド「ARAYA」のWebサイトには、かつて販売していた自転車カタログを見ることができる。それを見ると90年代にはすでに街乗り用マウンテンバイクがあるのがわかる。
araya-rinkai.jp/catalog
メーカー公式の街乗りマウンテンバイクは、細いスリックタイヤを装着したGT ZUM(Bikepedia)、フルサスペンションMTBに700Cホイールを装備し、普段は街乗りやサイクリングが楽しめ、26インチホイールに付け替えてオフロードも走れるルイガノ DW(公式サイト)があった。
ロードバイクブーム前では、マウンテンバイクを街乗り用にカスタムするブームもあった。一時期、マウンテンバイクの街乗り仕様のカスタムは、オフロード用の太いブロックタイヤから細いスリックタイヤに交換するのが一般的だった。
街乗りマウンテンバイクが衰退した理由を考える
2019年現在、街乗り用マウンテンバイクは衰退し、スポーツサイクルで街乗りをするのならクロスバイクが一般的だ。その理由は様々ある。
1つ目はマウンテンバイクが本格的なオフロード走行に特化するようになった事。今のマウンテンバイクは低価格帯でも、スポーツ走行を重視しているため前傾姿勢となる乗車姿勢、オフロード走行にも対応するため車体が頑丈になり重くなり、ママチャリみたいなフル泥除けが装着できないため、舗装路ではクロスバイクよりも遅く、汎用性が低いという欠点が出た。
マウンテンバイクのオフロード走行特化により、マウンテンバイクの部品規格を採用したツーリング自転車が登場している。Surly LongHaul TruckerやDisc Truckerが有名で、荷台や車輪を覆う泥除けなど、長距離サイクリングに適した部品が装備できる一方、マウンテンバイク用の頑丈なホイールが装着できる利点を兼ね備えている。
グラベルロードやグラベルクロスバイクの登場も、街乗りマウンテンバイクの衰退に貢献しているだろう。
近年のグラベルロードやKONA DEW(2019)、GIANT GRAVIER、FUJI RAFFISTA(2019)等のグラベルクロスバイクは、軽量なフレーム、サスペンションが無いフロントフォーク、太くて軽量なスリックタイヤを装着している。軽量なフレームは、本格的なオフロード走行は向かないが、日本国内の一般公道は、舗装路や砂利道しかなくサイクリングでは問題ない。サスペンションフォークが無いのは、フロントフォークのサスペンションは、大きな段差には効果があるが、一般公道によくある小さな凸凹ではタイヤで決まる事が多いからだ。
街乗りマウンテンバイクを買うのならデュアルスポーツクロスバイクを選ぶのも1つ
https://www.youtube.com/watch?v=kGG_d1djF5E
グラベルロードやクロスバイク、グラベルクロスバイクを検討していても、街乗りマウンテンバイクが欲しいと思う人もいるだろう。もし、街乗りマウンテンバイクを選んでいるのなら、デュアルスポーツタイプのクロスバイクを選ぶのも1つ。日本で有名なモデルと言えばTREK DSシリーズだろう。
TREK DSはフロントサスペンションを搭載したクロスバイク。一部ではデュアルスポーツと呼ばれるクロスバイクの一種。マウンテンバイクとの違いは700Cのホイールを採用し、クロスバイク用の軽くて細い舗装路用にタイヤと、29×1.8インチのマウンテンバイク用タイヤの装着が両立できる。サスペンションの稼働域が短く、オフロード走行でのジャンプやハードな走行は想定されていないが、マウンテンバイク風のデザインで舗装路走行を重視したい、グラベルを走りたい人には合っているだろう。
エントリーモデルのオフロード走行特化により街乗りしにくくなったMTB
自転車では、低価格でスポーツサイクルを楽しめることができるエントリーモデルが用意されている。かつてのマウンテンバイクでは6~7万円クラスのモデルは街乗りから多少のグラベル走行を重視したタイプという位置づけだった。しかし、今のエントリーモデルのマウンテンバイクは、6万円台でも油圧ディスクブレーキやフロント2段化といった、舗装路よりもオフロード走行を重視したMTBが増えている。スタンドやキャリアの装着は可能だが、おまけに近い。街乗りマウンテンバイクは衰退しつつある状況だ。
街乗りマウンテンバイクに関しては、ダートをメインで走るのでは無い限り、マウンテンバイクよりもタイヤが太いクロスバイク(グラベルクロスバイク)から選ぶのがベストだろう。
https://www.cyclorider.com/archives/20510
お洒落なシティスポーツ車「LOUIS GARNEAU MULTIWAY 26」にあさひ70周年特別モデルが登場
LOUIS GARNEAUから、日常使いに最適な機能が搭載された「MULTIWAY 26 あさひ70周年特別モデル」を数量限定特別価格で発売する。
LOUIS GARNEAU MULTIWAY 26は「毎日の通学をもっと楽しく、スポーティーに」をコンセプトに企画された自転車。クロスバイク風のデザインだが、泥除けやハブダイナモライトなど、日常利用で役に立つ機能を標準装備した自転車。
今回のあさひ限定モデルでは、「MULTIWAY 26」をベースに様々な物を装備。車体には70周年特別モデルであることを表す「Asahi 70th Anniversary」のロゴを配置したり、レザー風のハンドルグリップやサドル、下部に籐風のデザインが施された、お洒落なフロントバスケットを採用した。
発売日は7月17日(水)から。あさひ公式自社ネット通販サイトの「ネットで注文・お店で受取サービス」を利用した販売のみでの扱いとなる。
製品名 :LOUIS GARNEAU MUTIWAY 26 あさひ70周年特別モデル
販売価格 :49,980円(税込)
カラー :LGホワイト
サイズ :420mm
メインコンポ:SHIMANO TOURNEY 7 SPEED
重量 :15.6kg(420mm)
発売日 :2019年7月17日より販売開始予定
70周年特別記念サイト:https://www.cb-asahi.co.jp/lp/contents/campaign/70th_anniversary/
MTB風味を持つグラベルバイク GIANT TOUGHROAD SLR
https://youtu.be/tqBJR6Dzybk
2016年モデルで登場した、GIANTの新世代ツーリング自転車「TOUGHROAD SLR」シリーズ。マウンテンバイクみたいに太いタイヤを履き、道を選ばないツーリング自転車だ。
フレーム素材は、ALUXX-SLRというGIANTのアルミの中でも軽量を売りにしている。GIANTの自転車の中でも高価なモデルに採用されている種類のアルミだ。フレームはマウンテンバイクみたいだが、ヘッドチューブが長く、サスペンションの装着は想定していないように見える。全体的な形状もGIANTの近年のハードテールマウンテンバイクのように、極端にスローピングせず、各部の隙間もMTBよりも狭いように見える。
シートポストは、D型形状のD-FUSEシートピラーを採用。撓りやすいシートピラーを特徴としていて乗り心地を良くする一方、汎用性が低くなる。フロントフォークはサスペンションが無いリジッドフォークでカーボン製だ。
ギア比はマウンテンバイク用で軽いギアが有り、上級モデルのSLR1は前2段と流行のダブルギアを採用している。タイヤはマウンテンバイク用。29インチは700のリムと径が同じなので、700のクロスバイク用タイヤの装着が可能と思われる。スプロケットは36Tと大型のギアを装備している。SLR1は、前後キャリアやチェーンステーカバーを装備している。前後キャリアは溶接から見て恐らくアルミ製。前キャリアは片側7.5kg、リアキャリアは25kgまでの荷物を積むことができる。また、荷台を使用しないで車体に装着するバッグ「SCOUTシリーズ」を装着することもできる。
GIANT TOUGHROADに乗ってみた
今回、サイクルハーバー青梅でレンタサイクルとして使われているGIANT TOUGHROADに試乗することができた。このTOUGHROADは、SRAMの1×11速仕様に、後付でハブダイナモを装備している。
最初に見て、クロスバイクと大きく違うように感じるのがタイヤとホイールだ。ホイールの大きさは29インチと、マウンテンバイクに使われている規格だ。車輪径を大きく障害物が乗り越えやすい29インチは、クロスカントリーMTBレースでよく見る形式だ。
TOUGHROAD SLRの標準タイヤはグラベル重視のブロックタイヤを装備しているが、今回試乗したTOUGHROADはWTB Thickslick 29×2.1というスリックタイヤを装備。タイヤの重量は786g。
舗装路では、GIANT Escape R3などのスピードクロスバイクと比較すると安定感が高いのが特徴だ。カーブを曲がる時の感覚も同じで、細いタイヤを装着したロードバイクやクロスバイクのひらひらとした軽快感とは対称的な走りとなっている。公道にある段差も特に気にしないで通過できるため、
漕ぎ出しに関しては、タイヤが太いためオンロード用スポーツサイクルと比べると重いが、マウンテンバイクよりも軽快だ。Specialized Diverge E5+パナレーサー・グラベルキング700×38Cと比較した場合、Diverge E5のほうが軽快だろう。しかし、スピードを出さなければ、これで舗装路の長距離サイクリングもできるレベルだろう。
ギア関連に関してはSRAM GX1000 36T+SRAM PG1130 11S 11-42T。1×11ながら、ギア比1以下のギアが装備されているので、長距離サイクリングでの山越えも可能だ。
舗装路では、タイヤの太さを生かして安定感がある走りが楽しめるTOUGHROADだが、ジープロードでもその良さを実感できる。今回、TOUGHROADで林道の下りを走行したが、スピードは遅いながら”操縦”して下ることができた。このような砂利道だと、一般的なクロスバイクは恐る恐る走行しないといけない一方、TOUGHROADが安定して走行できたのは、29インチホイールの走破性もあるだろう。
TOUGHROADが合っている人は、嘗てマウンテンバイクでサイクリングを楽しんでいた人だろう。ジャンプやハードなコースは走らないが、砂利道は安定して走行できる頑丈さを求める人は今でもいる。今のマウンテンバイクは、オフロード走行に特化した影響で、低価格のエントリーモデルでも重装備となっており、舗装路はマウンテンバイクよりも軽快に走行でき、砂利道はクロスバイクよりも安定して走れるTOUGHROADは貴重な自転車だ。
注意点を挙げるとするならタイヤだろう。TOUGHROADに採用されている29インチタイヤは、MTB用のブロックタイヤか、重い街乗り用タイヤしかない状況だ。流行のグラベルロードでは、650B×47Cというロードプラス規格を使用できる自転車がある。こちらでは軽量なタイヤが用意されており、600gを切る太いスリックタイヤも存在する。(パナレーサー・グラベルキング 27.5×1.90:584g)舗装路走行がメインの人なら軽量タイヤが装備できるグラベルロードを選ぶのも1つ。TOUGHROADはグラベルをメインに楽しみ、オンロードはマウンテンバイクよりも軽快に走行したい人のためのグラベルツーリングバイクだろう。
車両協力:サイクルハーバー青梅