デイリーアーカイブ Oct 28, 2024

Turing Machine Alpha 高性能AIを搭載する自動運転のコンセプトカー 自動運転の課題は?

2023年10月28日から11月5日まで一般公開を行っていた「ジャパンモビリティショー2023」では、大企業だけでなくスタートアップなど様々な自動車会社が車両や部品、技術を展示していた。その中でもピックアップするのがTuringだ。 Turingは「We Overtake Tesla(私達はテスラを超える)」をミッションに、完全⾃動運転EVの量産を⽬指すスタートアップ企業。世界で初めて名人を倒した将棋AI「Ponanza」の開発者である⼭本⼀成と、カーネギーメロン⼤学で自動運転を研究し、Ph.D.を取得した⻘⽊俊介によって2021年に共同創業した企業。 Turingが開発を行っている自動運転技術は、人間のように”目”と”脳”で判断するのを謳っている。 現在、一般ユーザーが購入できる自動運転車の殆どは、運転の主体が人間で自動運転はあくまでも補助扱いのレベル2が殆ど。しかし、補助であっても様々な技術が使われている。例えば、日産プロパイロット2.0は7個のカメラ、5個のレーダー、12個のソナーと3D高精度地図データを使用している。 Turingが開発を行っている自動運転技術の場合は、カメラによる視覚情報を高度なAIが人間のように理解して運転を判断する。これにより一般的な自動運転で問題になっている標識と看板の違いが認識できない問題の解消や、高精度地図データが無い場所での自動運転が期待できるだろう。同社はAI深層学習技術を⽤いた限定領域に留まらない完全自動運転の実現を目指している。完全自動運転は、自動運転レベルで言うレベル5に相当し、どんな場所も自動で移動できる夢物語ような乗り物だが、Turingはその世界を目指しているようだ。 Turingの自動運転システムは、通常の自動運転時は人間で言う小脳相当のレベル2自動運転を使用し、突発的な事が発生した場合は大脳相当にあたる開発中の自動運転技術を使うのを予定している。 カメラによる視覚情報を高度なAIが人間のように理解して運転を判断できるかと疑問に思う人は多いと思うが、Open AIの高機能チャットボット「ChatGPT」では画像を認識する機能が搭載されている。Turingのようにカメラによる視覚情報を高度なAIが人間のように理解して運転する自動運転技術は可能だろう。 ただ、筆者が気になったのが、AIを動かすためのGPU(画像処理装置)がどれほど必要なのか。GPUは画像を描写するために使われているが、近年注目されている生成AIも膨大なデータを瞬時に計算しないといけないので、高性能なGPUが必要となる。Stable Diffusion等の画像生成AIでもデスクトップタイプのゲーミング用PCに使われているGPUが必要だ。 自動運転を行うのなら画像生成AI以上のGPUが必要になるのは明白だ。Turing Machine Alphaに搭載されているGPUに関して伺った所、NVIDIA製のAIやデータ分析に使われているGPUを3個装備しており、これだけで自動車が購入できる価格とのこと。これは、Turingのカメラ+高性能AIの自動運転システムの問題の1つだろう。この問題に関してはNVIDIAが頑張って自動運転に対応できるレベルの高性能で低価格のGPUが作れるかが重要となるだろう。 車体に関しては、日産の電気自動車「リーフ」をベースにしている。車体デザインやフレームはTuringオリジナルだが、ペダルやハンドル、座席位置はリーフと同じ位置にしているとのこと。これは保安基準に通す際、独自の位置にすると保安基準適合を行う際の時間がかかるため、あえてリーフと同じ位置にしているようだ。 Turing Machine Alphaをよく見ると乗車位置が高めだが、低く構えたスポーツカーみたいに見えるのは、フロントガラスが殆ど無く、独自デザインの鋼鉄フレームを露出させ、車体下部をブラック塗装にすることで車体を引き締めているのもあるだろう。 Turing Machine Alphaの市販は不明だが、仮に市販を行う場合は、まずは光岡自動車・ゼロワンの初期モデルのように組立車登録になるだろう。 Turingは2027年に完全自動運転EVの量産を開始し、2030年には完全自動運転EVの10,000台の生産を目標としているとのこと。どのような完全自動運転EVが登場するのか期待したい所だ。 文:松本健多朗 Turing株式会社 (turing-motors.com)

ヤマハ Y-01W AWD 2輪駆動を採用した何でもありのコンセプトEバイク

2023年10月28日から11月5日まで一般公開を行っているイベント「ジャパンモビリティショー2023」(会場:東京ビッグサイト)のヤマハ発動機ブースではコンセプトEバイク「Y-01W AWD」が展示されていた。 Y-01W AWDは、センターモーターと前輪ハブモーターを組み合わせた、両輪駆動のアドベンチャーEバイク。ツインモーターの協調制御、長距離ライドを可能にするツインバッテリーや幅広タイヤ等の採用による走破性で、走れるフィールドの拡大を提案するコンセプトモデルだ。 Y-01W AWDはドロップハンドルを採用しているが、車体設計自体はハードテールマウンテンバイクとなっている。但し、車体に固定されているリアキャリアやハンドル上部に装着したエアロバーを装着しており、グラベルロードやトレッキングバイクの要素をミックスしている。フロントサスペンションはY-00Z MTBと同じくKYB製の倒立フロントフォーク。フォークにはフロントキャリアや4灯式ヘッドライトを装備しており、迫力あるデザインを実現した。 Y-01W AWDの一番の特徴と言えるのがミッドドライブモーターとフロントインホイールモーターを組み合わせた2WD機構だろう。今迄、2WD機構を採用したEバイクは何社か存在したが、多くが前輪と後輪にインホイールモーターを搭載しており、Y-01W AWDのようにミッドモーターとフロントインホイールモーターの組み合わせは珍しい。また、2WD仕様のEバイクは大手のEバイクブランドや部品メーカーは展開しておらず、コンセプトモデルでも大手¥から登場したのは貴重だ。 モーターアシストの前後比率に関しては、基本的には後輪の比率が高いが、急坂や泥濘などの滑りやすい道で後輪のスリップを検知すると前輪のアシスト比率が大きくなるように設計されているとのことだ。また、バッテリーも2個装着したデュアルバッテリーとなっており長距離走行に対応している。 Y-01W AWDの派手なデザインや大手Eバイクメーカーでは見かけない2WDという機構を採用しているのでコンセプトモデルだけで終わるかもしれないが、海外のEバイクでは、自動変速や内蔵ギアボックス、ABS、インフォテイメントシステムが市販車で搭載されているのを見ると、Y-01W AWDのような2WD仕様のEバイクは登場する可能性はあるかもしれない。 文:松本健多朗 ジャパンモビリティショー2023 – イベント | ヤマハ発動機株式会社 (yamaha-motor.com) Japan Mobility Show (japan-mobility-show.com)

ヤマハ Y-00Z MTB 電動パワステや分割式ドライブユニット構造を採用したコンセプトEバイク

2023年10月28日から11月5日まで一般公開を行っているイベント「ジャパンモビリティショー2023」(会場:東京ビッグサイト)のヤマハ発動機ブースではコンセプトEバイク「Y-00Z MTB」が展示されていた。 Y-00Z MTBは「Yamaha Motor Off-Road DNA」をコンセプトに開発したE-MTBの技術提案。分割式ドライブユニット構造と、電動アシスト自転車「PAS」で実績のある磁歪式(じわいしき)トルクセンサーを搭載したEPS(エレクトリック・パワー・ステアリング)の組み合わせで、オフロード走行における優れた操作性と安定性の両立を実現すると謳っている。 Y-00Z MTBの車体はヤマハ YPJ-MT Proの売りである「デュアルツインフレーム」の発展形。車体デザインの特徴としては、段差や岩に後輪が当たっても、リアスイングアームが上方向に動き高速で走ることができるハイピボットを採用。ペダリングに対して余計な負荷が掛かるキックバックという欠点はあるが、Eバイクに関しては大きな問題にはならないだろう。サスペンションはKYB製で前は倒立フロントフォークとオートバイさながらのデザインとなっている モーターの特徴は、トルクセンサーとモーターを別体化したということ。ハイピボット化による設計との声が多いが、これは設計の自由度が上がるのと、車体に大穴を開けない事による製造品質向上、リアチェーンステーを短くすることによるハンドリング性能向上などの利点がある。モータースペックに関しては公表されていないが、現在発売されているのとは同レベルのスペックを目標としている。変速機はハブ内蔵の内装9段変速。 ハンドルには電動パワーステアリングを搭載。この機構は既にヤマハのオフロードオートバイ「YZ」の試作モデルで搭載されていたのをE-MTB用に改良したもの。路面のギャップなどでハンドルが取られてしまう場面でも、安定して走行できる特性を採用しているとのこと。一般的な乗用車のパワーステアリングとは違いオートバイのステアリングダンパーの発展形に近いだろう。 https://youtu.be/x0Px4VKikTc Eバイク業界ではハイテク装備が注目されており、その中でも優勢なのがボッシュだ。ABSやスマートフォンとの接続機能など様々なハイテク装備がある。ハイテクに関してはヤマハ発動機は遅れているが、Y-00Z MTBを見ると、対ボッシュを見据えているように見えた。 文:松本健多朗 ジャパンモビリティショー2023 - イベント | ヤマハ発動機株式会社 (yamaha-motor.com) Japan Mobility Show (japan-mobility-show.com)