デイリーアーカイブ Oct 31, 2024

トランジットコンパクト風折りたたみ自転車「MOBILLY ONE」を解説する

超小径折りたたみ自転車は、走行性能よりも折りたたんだ状態の性能を重視している。今回紹介するMOBILLY ONEはXフレームを採用し低価格で購入できる超小径折りたたみ自転車だ。 MOBILLY ONEのフレームはスチール製を採用した。車体重量は13.8kgと重いが、これはフレームの重さだけでなく、泥除けや荷台が装備されているのもある。折りたたんだ状態のサイズは755×1100×500mmと、一般的な超小径自転車としては大柄だ。これは折りたたんだ状態でも車輪で転がして移動できるためだ。 タイヤ/ホイールのサイズは、12×2-1/4インチ。車輪が非常に小さいため段差や荒れた道の運転には注意しよう。ギアはシングルギアのため短距離向けと割り切ろう。 かつて存在したブリヂストンサイクル・トランジットコンパクトと比較する   View this post on Instagram   こよっぴ(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾さん(@koyo0918)がシェアした投稿 - 2018年 6月月22日午後5時07分PDT MOBILLY ONEを見て、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、かつてブリヂストンサイクルから登場したトランジットコンパクトだろう。2008年に生産終了したトランジットコンパクトは、MOBILLY ONEの先祖と言えるが、両車を見ると様々な所に改良点を加えている。 MOBILLY ONE フレームはボトムブラケットとシートチューブ部に補強が加えられている。これはトランジットコンパクトでは見られなかった物だ。ホイールもトランジットコンパクトではプラスチック製のホイールだったが、MOBILLY ONEでは一般的な自転車と同じスポークホイールになった。強度面も向上している。また、MOBILLY ONEには泥除けと荷台が装着されているので実用性も強化された。一方、トランジットコンパクトの利点は車体重量で12.8kgと軽量だった。MOBILLY ONEは車体重量13.8kgと重いが、泥除けと荷台を外した場合の重量が気になる。 低価格で購入でき、独創的なデザインで多くの人に愛されたトランジットコンパクト。今でもネットオークションや中古市場では高値が付く状況だが、MOBILLY ONEの登場でその流れも変わるだろう。 https://www.cyclorider.com/archives/32391 https://www.cyclorider.com/archives/36313 関連リンク Gic  

令和の主流になるモビリティはE-Bike・パーソナルモビリティ・自動運転車か

平成では、自動車はヒエラルキーが変化し最後は只の実用品に落ち、かつては一時代を築き上げた原動機付自転車(50CC)は死に体となり、オートバイはマニアの乗り物になった。そして電動アシスト自転車が登場した。令和では一体どのようなモビリティが主流となるのか。筆者はE-Bike・パーソナルモビリティ・自動運転車が、今後の社会の主流と考えている。その理由を紹介する。 令和時代を中心になるモビリティ 電動アシスト自転車/E-Bike https://youtu.be/fgVrJbcJGQM 世界的に注目されているE-bike。日本でも従来型の電動アシスト自転車だけでなく、E-MTBなどのスポーツタイプのE-Bikeや、3輪カーゴバイクが注目されている。 電動アシスト自転車やE-Bikeは従来の自転車よりも自由に移動できる所だ。従来の自転車では、運転者の脚力により走行できる距離に差があったが、電動アシスト自転車はその差を縮めることができる。また、多くのモビリティの中では、スピードが出にくく機械が原因による暴走運転ができないため、免許不要で気軽に運転でき、幅広い年齢層が運転できる。 また、E-Bike/電動アシスト自転車は、原動機付自転車よりも自由な設計が可能だ。これは、世界で電動アシスト自転車やE-Bike用の部品があり、複雑な構造ではないため設計に自由がある、スピードが出ないため自由な設計ができる事が関係しているだろう。E-Bike市場では遅れている日本ですら、既にクロスバイクやE-MTB等のスポーツ自転車型から、折り畳みタイプ、カーゴバイクタイプ、高齢者用タイプなど様々な電動アシスト自転車/E-Bikeが売られている。 https://www.youtube.com/watch?v=FUJUsuaHF2Q 日本では、モペッド文化が無いため、複雑なアシストセッティングを行う必要がある。一部ではアシストをアップさせて、もっと速く走れるようにする風潮もあるが、海外でも高速走行可能なE-Bike(S-Pedelec)は原動機付自転車のように免許が必要だ。また、Trek Super Commuter+のように自転車の軽快さよりも原動機付自転車のような、重厚感があるスタイルになるだろう。 パーソナルモビリティ https://www.youtube.com/watch?v=VtK0gkBUv4s 町中での近距離移動を想定した乗り物として知られているパーソナルモビリティ。一般的には自転車程度の速度が出る電動モビリティの事を指す。日本ではパーソナルモビリティの殆どが公道走行できない。日本のパーソナルモビリティで有名なのはWHILLだろう。次世代の電動車椅子のWHILLは、動画のように自動運転実験やシェアリング実証実験を行っている。 https://www.youtube.com/watch?v=tyuUQGztQrk   出典:ヤマハ また筆者が注目しているのは、ヤマハ・TRITOWNだ。停車時でも自立する立ち乗り型のパーソナルモビリティで、従来のキックボード型にはない安定感が期待できる。 パーソナルモビリティの問題点は、日本ではパーソナルモビリティに対する整備が無い事だ。これは、日本の道路事情も関係しているので一律に規制を緩めるわけにはいかないだろう。日本でもパーソナルモビリティを使用したシェアリングサービス「WIND(https://jp.wind.co/)」があるが、日本では原動機付自転車扱いになりヘルメットや免許証が必要だ。 また、既存の電動アシスト自転車の存在はパーソナルモビリティの最大の障壁になる。現行法でも運用でき、電池が切れても走行できる電動アシスト自転車は、パーソナルモビリティ普及の最大の壁になるだろう。 自動運転車 https://youtu.be/VG68SKoG7vE 世界中で注目されている自動運転車。動画のテスラのように安定した運転を行うのもあるが、現時点では様々な不安がある。また、自動運転を行うには非常に複雑なセンサーやソフトウェアが必要なので、一般的な自動車に搭載されるには時間がかかるだろう。しかし、運転技術や知識、補償が自動運転以下の手動運転が膨大にある現在、自動運転車が普及すれば手動運転車は保険料が膨大に上がり社会的に排除される可能性が高い。これはアメリカのスポーツカーブーム衰退の原因の1つに保険料高騰があるため非現実的な話ではない。 https://www.youtube.com/watch?v=eS5NopYqVIQ また、自動運転車は一般的な自動車よりも、公共性が高い自動車のほうが早く採用されるだろう。例えば、DenaのRobot Shuttleのは道路界の新交通システムだ。これは、線路を敷かなくてよく、自由に道を設定できるため従来の公共交通機関のハブ交通の役割も期待できる。 https://www.youtube.com/watch?v=qf2sqif60iA DeNAはRobot Shutteだけでなく、日産製電気ミニバンタクシーを使用した、自動運転タクシー「Easy Ride」の開発も行っている。こちらはRobot Shuttleとは違い、一般の手動運転車との混合での走行も可能。2020年代前半の本格サービスの提供に向けて開発している。 https://www.youtube.com/watch?v=Q_OH-EXyNmg 歩行者扱いの電動車椅子も自動運転化が模索されている。つくば市では2019年4月22日に産業技術総合研究所とスズキ株式会社の協力のもと、「電動車いすの自動運転」の実証実験を全国に先駆けて実施した。 自動車は社会の中心から外れるか 人間が生活を行う上で重要な3項目と言えば衣・食・住だろう。その中でも自動車やオートバイ、自転車などのモビリティは住環境の付属品にしか過ぎない。そして、世の中の人が望んでいるのは自動車を運転するのではなく、楽に移動したいだけだ。多くの地域が車社会になっているのは、あくまでも現時点の選択肢で楽に移動できるだけでしかすぎない。もし既存の自動車よりも安全で楽に移動できるモビリティが登場したら、殆どの人はそちらに乗り換えるだろう。 車社会(モータリゼーション)の復活はあるか?と聞かれたら筆者はNOと答えるだろう。東京ビッグサイトで行われた「TRAN/SUM」の講演を聞いたり、様々な資料を見た限りでは、先進国では従来型車社会から決別し、人に優しい誰でも移動できる社会を目指している。それは日本でも同じでこの流れは静かに動いている。シクロライダーもこの流れに関して定期的にリポートする。 島内でも高齢者による交通事故は発生しているが「免許を返納すると、ちょっとした買い物でも自分で行けないし、病院に行くのも不便になりそうだから、返納に抵抗があるとの意見が多い」という。そして「高齢者だって事故は怖いし、子どもに叱られながら運転をしたくはない。早く自動運転を実用化してほしい」という切実な声が上がった。 離島で考える地域交通のあるべき姿(前編)SIP市民ダイアログレポート

BOSCHユニットのE-Bike TREK Verve+をインプレッション

ヨーロッパではトップシェアを誇るBOSCHの電動アシストユニット。2017年にBOSCHは電動アシストユニットを日本に参入すると発表し、2018年モデルから、Boschユニットを搭載した電動アシスト自転車が登場しつつある。 コラテックやビアンキ等のブランドでボッシュの電動アシストユニットを搭載した電動アシスト自転車が登場しているが、Boschの電動アシストユニットを搭載した電動アシスト自転車のなかで一番安いのはTREKの電動アシスト自転車「Verve+」だ。Verve+は、クロスバイクタイプの電動アシストスポーツサイクルで、日本市場ではTREK唯一の電動アシスト自転車だ。 Verve+に搭載されているアシストユニットはBosch Active Line Plus。Boschユニットを搭載した電動アシスト自転車は、日本市場では30~40万円台のモデルが殆どだが、TREK Verve+は税抜き価格20万円以下で買うことができるBOSCHユニット搭載の電動アシスト自転車となっている。 税抜き20万円以下(2018年登場時)で買えるVerve+は、通勤等の日常用クロスバイクというコンセプトだ。Verve+は価格は安いが装備は充実しており、フレーム内蔵フロントライトやフェンダー内蔵テールライト、泥除けを装備しこの価格帯の電動アシストクロスバイクとしては、比較的買い得な電動アシスト自転車となっている。ブレーキは油圧ディスクブレーキを採用し。タイヤも太いため、スピードが出ても安定して停まれる安心感がある。 Boschの電動アシストユニットは期待はずれ?(2017年時の記事) Verve+のアシストユニットはBosch Active Line Plusというもので、Boschの電動アシストユニットの中では低価格向けの街乗り向けユニットと思われる。ケイデンスメーターはなく、スポーツサイクルアシストユニットのヤマハ・PW(YPJ-R・YPJ-C)やパナソニックスポーツドライブユニット(パナソニック・XM1)と比較すると、街乗り向けだと実感する。 ヤマハやパナソニックのシティサイクル用ユニットみたいに、時速20km/h超えたときのアシストオフによる脚にかかる重さはなく、YPJ-R/YPJ-Cに採用されているPWユニットよりもパワー感はあり、アシストのON・OFFはわかりやすい。しかし、シマノのSTEPS E8080やXM1に搭載されているパナソニックスポーツドライブユニットみたいに、高ケイデンスで漕いでもアシストがかかる雰囲気ではなかった。 サイクルモードのコースで気になったのが、ペダルを漕ぐ脚を止めてアシストがオフになる時、コクンとした小さいショックが発生する。これは同ユニットを搭載したTern Vektronでも体感したので、Bosch Active Line+特有の問題と考えて良いと思う。因みに埼玉サイクルエキスポでVerve+と同じユニットを搭載し、海外用チューンのBosch Active Lineに試乗したことがあるが、こちらはアシストオフのショックが無く、時速27km/h近くまでフラットに力強くアシストしてくれた。 感覚的にはBENELLI TAGETEに装着されているBAFANG社のユニットに近い。しかし、BAFANG社のユニットはアシストオフの時のコクンとした感覚がないため、BOSCHよりもBAFANGのほうが優秀なのではないかと思ってしまう。 もしシマノ製アシストユニットが搭載されていたら破格だが…(2017年時の記事) TREK Verve+の価格は税抜き20万円以下と装備内容を考えたら比較的安価だ。しかし、ペダルを漕ぐ脚を止めてアシストがオフになる時、コクンとした小さいショックが発生するアシストユニットのおかげで、両手を挙げて薦められる電動アシスト自転車ではない。もしシマノSTEPS E8080を搭載して25万円以下なら間違いなくお薦めだが、このレベルだと購入前に必ず試乗するべき電動アシスト自転車の1台の中に入るだろう。 しかし、2018年に再試乗することができたが、評価は一気に変わった。 2018年に再試乗した時のインプレッション 2018年に、実際の公道でTREK Verve+に試乗することができた。この時最初に感じたことはモーター音が静かな事。電動アシスト自転車やE-Bikeは車種によって様々なモーター音を発する。筆者が知る限りではヤマハ・PW-X、パナソニック・スポーツドライブユニット、シマノ・STEPS E8080はモーター音が大きい。その中でもシマノ・STEPS E8080は高音を発することで知られている。短時間で乗るのならモーターの高音は面白いが、これが何時間も続くと喧しいのだ。 TREK Verve+に搭載されているBosch Active Lineユニットは、音が静かでアシストが発生した状態でも非常にわかりにくい。また、太いタイヤのおかげで、一般公道では終始安定した走りができる。そのため、普通のサイクリングを行うのならリラックスして走行できる。2017年のサイクルモードでの評価が悪いのは、サイクルモードの試乗コースが実際の一般公道とかけ離れており、高速走行を重視する道だったのもある。一部の自転車ブランドではBoschユニットを高評価している所があったが、その理由がやっと理解できた。 Bosch Active Line Plusユニットは、レーシーな走行を楽しむE-MTBよりは、TREK Verve+のようなE-クロスバイクやE-トレッキングバイクに合っている。アシストオフ時の、コクンとした小さいショックが気にならないのなら悪くない選択肢だろう。 https://www.trekbikes.com