一般的な自転車は、漕ぐのを止めた時に後輪だけが回るフリー機構を採用している。このフリー機構はスプロケット(リアギア)と一体化したボスハブと、フリー部分がハブと一体化したカセットハブの2種類がある。2018年現在、ボスハブは一部の低価格自転車にしか採用されていない。シクロライダーではボスフリーハブは推奨しておらず、自転車紹介時は一部例外を除き、4万円以上の自転車にボスフリーハブを採用した自転車は紹介しないようにしている。今回はボスフリーハブの欠点と今でも購入できるボスフリーについて紹介しよう。
ボスフリーハブの欠点
ボスフリーハブの欠点は主に2つある。1つは部品の選択肢が少ないことと、車軸が歪む可能性があることだ。
スプロケット・変速レバーなど部品の選択肢が少ない
現在主流のカセットフリーハブは規格を変えつつあるが、7~11段まで様々な種類がある。またディスクブレーキやスルーアクスルといった新しい規格を採用した物もある。一方、旧式なボスフリーハブは部品の種類が少ない。スプロケットは7段までの物が殆どで変速レバーの選択肢も少ないのが実情だ。
車軸がゆがんだり、折れたりする
ボスフリーハブは構造的な問題で、車軸に力が加わると車軸がゆがんだり折れやすい問題がある。ボスフリーハブの車軸は筆者も折ったことがある。因みにカセットフリーハブでこのようなことは起こっていない。
これは構造的な問題と言われている。ボスフリーハブはカセットハブと比べて、体重を支える位置が狭いのと、支えている位置が少ないので強い荷重がかかった場合、折れてしまうようだ。
仮にボスフリーハブの車軸が折れた場合、車軸を交換する必要がある。車輪を簡単に脱着できるクイックリリースハブを使用している穴あきシャフトの場合、頑丈で穴がない車軸に交換して強度アップする方法もある。この方法は上級者向けなのでシクロライダーでは紹介しない。
ボスフリー関連の部品
今では珍しい部品となったボスフリーハブやボスフリースプロケット。もはや絶滅しつつ状態だが、今でもボスフリー関連の商品は売られている。今回は2018年現在、ボスフリー関連の商品を紹介する。
ボスフリースプロケット
ボスフリースプロケットは、現在は主流ではないためギア比の選択肢が非常に少ない。現在、低価格帯のシティサイクルに装着されるシマノ。シマノより趣味層向けで買いやすいENE CICLO。マニアックなユーザー向けのIRDがある。
SHIMANO
シマノ製ボスフリーの殆どは低価格帯の自転車に使われるものしか無い。
MF-TZ500-6/MF-TZ500-6-CP:6速
- 14-16-18-21-24-28T
- CPはチェーンプロテクター付き
MF-TZ500-7/MF-TZ500-7 CP:14-28T 14-34T
- 14-16-18-20-22-24-28T
- 14-16-18-20-22-24-34T
- CPはチェーンプロテクター付き
ENE CICLO
ENE CICLOのボスフリースプロケットは、クラシックなスポーツ自転車にも使える製品をラインナップ。取り外し工具はParkTool FR-1.3または、Super B TB1045を推奨。シマノ製工具 TL-FW30のご使用は推奨致していないとのことだ。取扱はヨシガイ。
SR-5S-28N:5段用/¥2,200
貴重な5段変速用ボスフリースプロケット。旧モデル(SR-5S)の後継モデルで、各ギア板に変速ポイントが設定されチェーンの移動がスムーズになった。スチール製。
●14T、16T、20T、24T、28T
●重量:440g
SR-6SN-24:6段用/\2,200
SR-6S-28Nと同じく、各ギア板に変速ポイントが設定されている。スチール製。
●14T、16T、18T、20T、22T、24T
●重量:420g
SR-6SN-28:6段用/¥2,200
SR-6S-24Nのギアを軽めにしたボスフリースプロケット。
●14T、16T、18T、21T、24T、28T
●重量:420g
SR-7S-25:7段用/¥3,200
こちらも現代のスプロケットと同じく、各ギア板に変速ポイントを設定。ボスフリーハブでは珍しく13Tを設定。スチール製。
●13T、15T、17T、19T、21T、23T、25T
●重量:440g
SR-7S-28:7段用/¥3,200
SR-7S-25のギア比を軽くしたバージョン。
●13T、15T、17T、19T、21T、23T、25T
●重量:460g
IRD
衰退しつつあるボスフリーの中で多種多様なラインナップがあるのがIRD。価格は高価だが、全体的なデザインも綺麗で趣味用の自転車に使うのには合っているだろう。取扱は東京サンエス。
ディファイアントフリーホール(5段)
スタックハイト:29.2mm
- 13-24T:13, 15, 17, 20, 24
- 13-28T:13, 16, 20, 24, 28
- 13-32T:13, 16, 20, 24, 32
- 14-28T:14, 16, 20, 24, 28
ディファイアントフリーホール(6速)
スタックハイト31.5mm
- 13-24T:13, 15, 17, 19, 21, 24
- 13-28T:13, 15, 18, 21, 24, 28
- 13-32T:13, 15, 18, 21, 24, 32
- 14-32T:14, 17, 20, 24, 28, 32
- 14-34T:14, 16, 19, 24, 28, 34
ディファイアントフリーホール(7速)
スタックハイト34.1mm
- 13-24T:13, 14, 15, 17, 19, 21, 24
- 13-28T:13, 15, 17, 19, 21, 24, 28
- 13-32T:13, 15, 17, 21, 24, 28, 32
ボスフリーハブ
絶滅しつつあるボスフリーハブ。ネット上で単品購入できるのは低価格の補修用か、クラシックスポーツサイクル用のENE CICLOの2択となっている。
ENE CICLO ツーリングハブ:¥7,200 (フロント) ¥8,000 (リア)
クラシックデザインを採用したボスフリー用アルミ冷間鍛造シェル。リアは5段・6段用の126mmと7段用の130mmがラインナップ。取扱はヨシガイ。
●ラージハブ 32H、36H
●フロント 100mm
●リア 126mm(5s、6s)130mm(7s)
●ボスフリー専用
●シルバーアルマイト仕上げ
●シールドベアリング
●クイックレリーズ付
その他ボスフリーハブ
ENE CICLOとは違い低価格帯の自転車に使われるタイプ。参考用に商品のみ。