ヤマハ発動機株式会社は3月31日、ドイツの自動車部品メーカー「ブローゼ(Brose)」が展開する自転車用ドライブユニット(e-Kit)事業子会社を買収する契約を締結したと発表した。買収手続きは競争法などの必要な許認可を得たうえで2025年6月をめどに完了する見込み。あわせて3月に設立した新会社「Yamaha Motor eBike Systems(YMESG)」を本格稼働し、欧州市場を中心に事業拡大とプレゼンス向上を目指す。
ブローゼはドアシステムや電動モーターなどを手掛けるドイツの自動車部品メーカーで、2014年から自転車用ドライブユニット事業を展開。ヤマハ発動機はブローゼの開発機能を取り込み、新製品の企画・開発を強化するとともに、欧州に開発拠点を置くことで現地ニーズへの迅速な対応や新規顧客の獲得を図る。さらに、ブローゼから引き継ぐ600を超えるサービスネットワークを活用し、アフターサービス面でも強化を進めるという。
ヤマハ発動機は2025年2月に発表した新中期経営計画(2025~2027年)で、長期的な成長が見込まれる電動アシスト自転車事業を戦略事業に位置付けている。今回の買収は、同計画で掲げた競争優位性の確立と事業拡大を実現する取り組みの一環として進められるものだ。
ブローゼ製Eバイクユニットは、スペシャライズド・ターボLEVOシリーズやファンティック XシリーズやFAT SPORTといったE-MTBなどで使われていることで知られている。日本国内市場では欧州仕様(日本国内法では公道走行不可)のみの展開となっていたが、ヤマハ発動機の買収で今後の行方が注目されるところだ。