ヤマハ発動機は、2024年モデルのCROSSCORE RC/WABASH RTを発表した。
「WABASH RT」は、「いろいろ使えそう。ONもOFFも。」をコンセプトに、オンロードでの快適性とオフロード(林道・砂利道などの未舗装路)での走破性を求める人をターゲットにしたグラベルロードスタイルのEバイク。一方で、「CROSSCORE RC」は、「365days,1bike」をコンセプトに、通勤から仲間とのレジャーライドまで1台で楽しみたい方をターゲットに、街中でのコミューティングから郊外のロングライドまで快適に走行できる点に注力したクロスバイクタイプのEバイクとなる。
2024年モデルのCROSSCORE RC/WABASH RTの一番の特徴は、新型モーター「PWseries S2」を搭載したことだろう。
従来モデルのCROSSCORE RC/WABASH RTに搭載されていた「PWserise ST」と比較して、従来モデルに比べ、550g軽く、約20%小型化しながらも、最大トルク向上を実現したと謳っている。
旧モデルの「PWserise ST」は、同価格帯のEバイクに搭載されているBosch Active Line Plus、Shimano STEPS E6180などと比較して、力強さやスムーズなアシスト、このクラスでは静かなモーター音でトップクラスの性能を持っている。
今回の「PWseries S2」は、「PWserise ST」と比較すると、音は明らかに小さく無音に近い状態まで持っていっている。アシストの力強さに関しては「わかる人間はわかるようになっている」と思えば良い。単純な力強さ”感”をアピールするのであれば、アシストのON/OFFをわかりやすくした荒い感覚のほうが、アシストの力強さはわかるが「PWserise ST」のように元々がスムーズなアシストを売りにしている場合、電動アシスト自転車・Eバイクに精通していないと、アシストの力強さはわかりにくい。個人的には、PWseries S2はアシストが緻密になったという印象がある。
PWseries S2は、ヤマハ発動機のフラグシップEバイク「YPJ-MT Pro」に搭載されているモーター「PW-X3」の雰囲気を感じることができると感じた。
外観はカラーチェンジに加えて、フロントフォークにヘッドライトを装着。従来モデルではヘッドライトをハンドルに装着していたが、フロントバッグやスマートフォンホルダーの装着に支障を来すため、この変更はプラスだろう。
ヤマハ発動機初のコネクテッドEバイク「CROSSCORE RC Connected」が登場
CROSSCORE RCに関しては、新たにCROSSCORE Connectedがラインナップに登場した。
CROSSCORE Connectedは、ヤマハ発動機初のコネクテッドEバイク。スマートフォンに「YAMAHA e-Bike Link」アプリを入れて車体を接続させることで、メンテナンス方法や推奨点検時期の通知、作業履歴の管理、取扱可能な店舗の情報など、長期間安全に走行するために必要なサポート機能を提供するメンテナンスノート、走行距離または経過時間をもとに経過を表示。メンテナンス方法の確認やメンテナンス内容を記録することができるメンテナンス指示、任意の期間での走行データを記録し、振り返ることができるライドログ、安全運転をした時や、ライトオン、走行での疲労による危険を避けるための通知などを行うセーフティライドアシストなどを装備している。
他にもKmootと接続することで簡易ナビゲーション機能や、アプリで詳細な情報を表示するe-SYNC connectionとの連携を行うこともできる。
コネクテッドEバイクには様々な物が存在するが、スペシャライズドのターボSLのように、接続しないとアシスト調整ができないなどの機能があるため実質的にスマートフォンが必要となる場合や、ホンダ・スマチャリ搭載車のように、スマートフォンで接続しないと電源を入れることができないという”スマホ依存”が多い中、ヤマハ発動機のコネクテッド機能の特徴は、コネクテッド機能をプラスアルファの存在として使っている事だろう。
そのためか、ディスプレイはハンドル中央部に大型タイプを装備。コネクテッドEバイクの多くはスマートフォンをハンドルに装着するのが主流となっているが、振動や雨による故障やスマートフォンホルダーとの相性、走行中の操作などの問題があるため、大型タイプのディスプレイで対応するのも1つの考え方としてはあり。ただ、個人的にはボッシュ・Eバイクシステムのように小型ディスプレイ仕様も用意してほしい所。
また、コネクテッド機能をオプションにするのではなく専用車種のCROSSCORE Connectedのみの展開になったのは、一先ず様子を見て後々の展開を考えていると思われる。個人的には、30万円を超えるEバイクならコネクテッド機能の装備は当たり前になりつつあるため、WABASH RTにも装着すべきだろう。