自転車用ヘルメットの着用が努力義務化されてから1年が経過した。この法改正を受け、株式会社産経デジタルと株式会社オージーケーカブトは4月26日、全国1,718の自治体と23特別区を対象に、自転車用ヘルメットに関する初の一斉調査を実施した。その結果、ヘルメット着用率を把握している自治体は全体の3%にとどまり、購入補助制度を導入している自治体は全体の21%であることが明らかになった。
警察庁の発表によると、自転車事故で死亡した人の約7割が頭部に致命傷を負っており、ヘルメット非着用時の致死率は着用時と比べて約2.3倍高くなっている。都道府県別の着用率でも、最高の愛媛県が59.9%である一方、新潟県が2.4%、青森県が2.5%など、地域差が大きいことが判明している。
産経デジタルとオージーケーカブトは、5月1日の「自転車ヘルメットの日」と自転車活用推進法で定められた5月の「自転車月間」に合わせ、地域ごとの現状や課題を可視化するために、全国の自治体を対象に調査を行った。
調査の結果、ヘルメット着用率を把握・調査している自治体は全体の3%の52市区町村にとどまり、着用率調査の手法に共通性がないことも明らかになった。駐輪場や自転車利用の多い交差点での実地調査やネットモニターアンケートなど、調査期間や対象者数にばらつきがあり、着用率の統計的な比較分析が難しい状況だ。
一方、購入補助制度を導入している自治体は全体の21%の351市区町村で、補助上限額は全額負担から1,000円まで幅があることがわかった。条件を満たせば全額負担という自治体が2件、5,000円が2件、4,000円が7件、3,000円が60件、2,000円が208件、1,000円が16件と、金額に大きな差が見られた。
着用率把握と補助制度導入の両方を行っている自治体は全体の1%未満の16市区町村で、愛知県の6自治体が最も多く、大阪府の3自治体、東京都の2自治体などが続いた。
補助制度の導入率を都道府県別に分析すると、徳島県が100%、愛知県が92%と高い一方、着用率トップの愛媛県は35%にとどまった。愛媛県では教育委員会主導で高校の自転車通学時のヘルメット着用を義務化するなど、地域の実態に合わせた施策の重要性が浮き彫りになった。
警察庁交通局交通企画課の日下真一課長は、「自治体の助成や実態把握が着用促進に有効であり、積極的な取り組みの拡大に期待している」とコメント。産経デジタルとオージーケーカブトも、調査結果を活用し、イベントやプロモーション施策を通じた啓発活動を継続していく方針だ。
自転車用ヘルメットの着用は、自転車事故における致死率や後遺症のリスクの低下につながる。自らの命を守るためにも、安全性の高いヘルメットの購入と着用が求められる。各自治体には、地域の実情に合わせた効果的な施策の実施が期待される。
5月5日の「自転車の日」から31日までの「自転車月間」には、全国各地で交通安全の促進と自転車の正しい知識の普及を図るための啓発活動が行われる。自転車利用者一人ひとりが、ヘルメット着用の重要性を認識し、安全運転を心がけることが何より大切だ。