Eバイク(電動アシストスポーツ自転車)を、日本市場で販売する際に問題になるのがモーター製造会社が協力してくれるかということだ。
Eバイクの心臓部と言えるモーターは、大手から中小まで多くのメーカーが製造を行っている。ここで問題になるのが、モーター製造会社がどれだけ日本市場に興味があるのかが問題となる。基本的にEバイク製造会社が日本市場に参入を考えていても、モーター製造会社が日本仕様のモーターの開発を行わないと参入できないのが実情だ。
基本的に日本に参入していないモーター製造会社は、日本市場に興味を持っていないと思われる。多くのEバイク用モーター製造会社は、ドイツだけで単年200万台の販売台数を達成している欧州市場などを注力しており、日本市場に参入する価値がないと判断されているのだろう。
新型コロナウイルス感染症の影響で欧州や北米では自転車やEバイクの売上が大幅に上がった一方で日本での売上が上がらなかったというBIKE EU等の海外メディアの指摘や、中国のEバイク用モーターで有名なバーファンが日本支社を閉鎖し、とあるEバイク用モーター製造会社が日本仕様の開発を行っているが、欧州市場と比較して日本市場が小さすぎるため開発が遅くなっているという話も聞く。
日本市場に参入しているモーター製造会社も、シマノのように2017年に登場したモーター(STEPS E8080)を、2023年現在も同じモーターを投入している場合や、ボッシュのように頻繁に新型モーターの投入を行う企業があるので、企業によって違いがある。
因みに、スペシャライズド SLモーターのようにEバイクブランド独自のモーターが存在するが、このようなモーターも何処かの製造会社と手を組んで共同開発を行っているのが主流だ。例えば、スペシャライズド SLモーターはドイツの自動車部品会社で有名なマーレとの共同開発と言われている。このようなモーターに関しては、誰が主導権を握っているかで変わると思われる。マーレの場合、マーレブランドのEバイク用モーターが執筆時点(2023年12月12日)では日本市場に投入されていないのに対して、スペシャライズドとマーレが共同開発を行ったと言われているスペシャライズド SLモーターは2019年から登場している。そのため、あくまでも想像の範囲だがスペシャライズド SLモーターは、マーレではなくスペシャライズドが主導権を握っているのだろう。
日本市場に大手企業のモーター製造会社が参入するのかと気になる人もいると思うが、取材した限りでは新規参入は期待出来ない。これはアシスト比率の違いと言った法規の問題もあるが、そもそもアジア市場の市場規模が欧州や北米市場よりも小さいため参入する旨味が無い。実際、アシスト比率規制なしで時速25キロまでアシストでき、欧州法とほぼ同じ韓国でも、欧州や北米では有名なFAZUAやTQ HPR50といった軽量モーター搭載のEバイクは正規販売されていない。この流れを見ると日本市場は現状のままで大きなライバルが登場する可能性は少ないと思われる。