欧州系キャンピングカーで注目「フィアット デュカト」に注目

近年注目されているキャンピングカー。キャンピングカーのベース車と言えば、軽ワンボックスカーから、マイクロバスまで様々な物があります。今年注目されているキャンピングカーのベース車両がフィアット・デュカトでしょう。フィアット デュカトは、ステランティスの商用車部門であるフィアット プロフェッショナルが生産するバンタイプの商用車。欧州では小型商用車のベストセラーとして知られているデュカトは、日本市場では、マニアックな存在ながらキャンピングカーのベース車両として並行輸入されていたことで知られている。2022年に正規輸入が発表され、キャンピングカー市場への供給を目指し、キャンピングカーの製造・販売を手掛けてきた企業を中心に展開します。

「ジャパンキャンピングカーショー2023」(2月3日~6日、幕張メッセ)では、フィアット・デュカトをベースとしたキャンピングカーが多数展示されていただけでなく、ベース車両のデュカトが展示されていました。

日本のキャンピングカーベース車で有名なのがトヨタ・ハイエーススーパーロング(写真右)。キャンピングカーに限らず、配送やトランポなど様々な場面で活躍している車ですが、エンジンが床下にあるキャブオーバータイプのため、エンジンの熱や騒音が車内に入りやすい、前席に乗降する際、よじ登る感覚に近いため乗降性が悪い、ボンネットがほとんど無いため衝突安全性能は低いと言った欠点があります。

デュカトはハイエーススーパーロングよりも一回り大きい車体が特徴です。これは、デュカトのような欧州向け商用バンは、荷物を運搬するための小型バンやキャンピングカーとして使うだけでなく、ボディを変更してトラックやマイクロバスとして使うのもあるため、トヨタ・ハイエーススーパーロングというよりは、トヨタ・コースターや三菱・ローザといったマイクロバスサイズなどのライバルと言えます。

ハイエーススーパーロングと比較した場合、デュカトの利点はエンジンが車内になく、ボンネット前にあるため衝突安全性能、騒音、振動面で有利な所。デザインもフロントガラスを斜めにしてフロントボンネットを飛び出さないようにしたワンモーションフォルムにすることで、スマートなイメージを演出しています。

フロントのボンネットに搭載されており、前輪を駆動するフロントエンジン・フロントドライブ方式を採用。前席に乗車する際の段差は大きいですが、ハイエースなどのキャブオーバー車と比較すると乗りやすくなっているのは利点です。また、エンジンをボンネット前端に入れたことで、前席が回転対座シートとなっています。

ハイエースなどの後輪駆動仕様の商用車とは違い、前輪駆動により荷室はステップが無く平らなのが特徴。荷室高は全高2525ミリのL2H2の場合、1970ミリと、平均的な日本人なら立つことができるスペースを実現しています。

ハイエーススーパーロングよりも大きい車体サイズなどを考えると、日本国内ではハイエーススーパーロングの代替になるというより、新たな客層をつかむことができるモデルと言えるでしょう。

文:松本健多朗

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