2022年2月24日に発生したロシアのウクライナ侵攻で、ウクライナのE-Bike、電動オートバイブランド「ELEEK」が注目されている。
ELEEKは2010年に登場したウクライナの電動アシスト自転車、電動オートバイブランド。同社が製造している電動アシスト自転車は、アシスト速度が時速45キロで、ペダルアシストだけでなく、ハンドスロットルを搭載しているため、欧州法だと免許が必要な高速E-Bike(Speed Pedelec)扱いや、最高速度100キロのオートバイ扱いのモデルがある。
War Zoneの”ウクライナ軍司令官、狙撃チームに静かな電動バイクを求める(原題:Commander In Ukraine Wants Quiet Electric Bikes For His Sniper Team)”は、ウクライナでELEEK製E-Bikeや電動オートバイが活躍している記事を見ることができる。
- Commander In Ukraine Wants Quiet Electric Bikes For His Sniper Teams(War Zone) https://www.thedrive.com/the-war-zone/commander-in-ukraine-wants-quiet-electric-bikes-for-his-sniper-teams
ロシアのウクライナ侵攻で、E-Bikeや電動オートバイが活躍しているのは、電動モビリティ特有の隠密性にあるようだ。ロシア軍はドローンによる熱検知や電子戦を使用して信号妨害を展開している。このような場合、E-Bikeや電動オートバイは、一般的な内燃機関のオートバイと比較して静かで放熱が非常に少ないため、熱検知による監視網を抜けやすく、兵士間の伝令や負傷者に迅速な医療救済を提供を行っているとのことだ。
The commander of the Georgian Legion riding an ELEEK Atom electric bicycle in eastern Ukraine.
The bikes have become very popular since they make it possible to move silently on the front lines or even behind enemy lines.
🇬🇪🇺🇦pic.twitter.com/zU8uJCW8kb
— Visegrád 24 (@visegrad24) May 14, 2022
ELEEKのE-Bike・電動オートバイの中でも、ロシアのウクライナ侵攻に対抗して展開されているのが、「Atom」「Atom Militaly」の2モデル。
Atomは、最大出力6500Wを発揮するインホイールモーターを後輪に装備したモデル。ペダルは付いているが、モトクロスバイクのような車体に重量60キロ、最高速度は100キロ、72V 50Ah 3600Whバッテリーを搭載しており、世界的にはE-Bike(電動アシスト自転車)ではなく、電動オートバイ扱いとなる。
ウクライナ軍の要望に応えた特注モデル「Atom Militaly」は、Atomに装備されていたクランクは取り外しオートバイ化を実施。Atomよりも頑丈なオートバイ用フォークを搭載し、リアインホイールモーターの定格出力は3000W。重量70キロ、最高速度は90キロ、3600Whバッテリーを搭載。軍用バージョンのオプションとして、充電ガジェット用のUSB出力や220V200Wのソケットを装備している。Atom Militalyの価格は154280UAH(日本円で約67万5700円)。
ELLEKはAtomシリーズのようなオートバイタイプだけでなく、アシスト速度時速45キロまでの欧州法だと免許が必要な高速E-Bike(Speed Pedelec)扱いの「Lite Eco」や「Lite Kids」も展開している。
電動オートバイやE-Bike(電動アシスト自転車)を軍用で活用する事例は、今回のウクライナ信仰前に実証実験を行っていた所が存在した。電動オートバイはオーストラリア陸軍が特別仕様を、市販E-Bikeはイタリア軍第6アルプス連隊がFANTIC E-MTBのテストを行った事例がある。今回のロシアのウクライナ侵攻でのELEEKの活躍は、他国でもE-Bikeや電動オートバイが採用される例が増えるだろう。
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