サイクルモード東京2022のBAFANGブースでは、BAFANG製ユニットを搭載した様々なブランドのE-Bikeが展示されていた。その中でも、今回はESR VENTIを紹介する。
ESRは神奈川県にある会社。自転車に関しては、かつてマグネシウム製フレームの自転車を製造し、現在は折りたたみ自転車の「PURSUER」で有名だ。VENTIはESR初のE-Bikeとなる。
デザインは、DAHONのHORIZE DISC風の横折れ式折りたたみフレームでリアキャリアを装備。リアキャリアの耐荷重は60キロと重い荷物を積むことができる。
一般的には何も変哲もない電動アシスト自転車だが、搭載されているモーターがBAFANG M200(定格出力250W、最大トルク65Nm)という、車体中央部に装着するミッドドライブに注目した。
なぜミッドドライブに注目したかと言うと、ミッドドライブは、インホイールモーターよりもコストがかかり、パテント関連の問題があるため、採用する企業の数が世界的に見るとインホイールモーターと比較すると多くない。筆者もE-Bikeはミッドドライブに注目しており、イベントで出展していたミッドドライブのMotinova(記事)は、わざわざ営業を探して特別に乗せてもらっている。CYCOO JAPAN(記事)は営業に乗せてほしいと頼んだが乗車できなかったが、どこかで乗車したいと考えている。
ESR VENTIの販売予定価格は、23万1000円(税込)と、比較的お手頃価格の折りたたみE-Bikeなのに、わさわさコストがかかるミッドドライブ(BAFANG M200)を採用しているため、期待できると思い試乗することにした。
ESR VENTIに搭載されているBAFANG M200(ESRチューン)のアシストに関しては、踏んだ時のレスポンス、漕ぐのをやめた時のレスポンスは非常に良くできている。この価格帯のモーターユニットで思い出すのは、Benelli TAGETEに搭載されている「BAFANG M400」だが、あのユニットは、アシストのON・OFFが荒く、大手E-Bikeユニットと比較すると扱いにくかったが、VENTIに搭載されているユニットは、大手E-Bikeユニットと同等の扱いやすさがあると感じた。
アシスト音はBosch Active Line PlusやShimano STEPS E5080と同等でほぼ無音クラス。アシストが切れる速度も時速24キロ近くまできちんと追い込んているようだ。E-Bikeユニット単体だけで見たら、Bosch Active Line PlusやShimano STEPS E6180よりも上で、この価格帯のE-Bikeユニットで対抗できるのは、ヤマハ PW-SEだろう。
因みに、BAFANG M200(ESRチューン)と書いてあるのは、BAFANGはモーターは供給するが、アシストのチューニングはメーカー独自で設定できるため。ESR VENTIに試乗した後に同じBAFANG M200ユニットを搭載したTHIRDBIKES FES MOTORに試乗するとアシストの味付けが微妙に異なっていた。ESR側は型式認定試験を受ける当日の午前中までアシストのチューニングを行っていたようだ。型式認定は取得済み。
バッテリーはフレーム内蔵で容量は345Wh。サイクリングを余裕を持って楽しむのなら最低でも300Wh以上は欲しいので、300Wh超えは嬉しい所だ。
折りたたみE-Bikeの中でもサイクリングを楽しめるモデルと言えば、デザインとコンパクトに折りたためるTernの設計に、多用なディスプレイや大容量化が可能なバッテリーなどBosch E-Bike Systemの資産という強みがある「Tern Vektronシリーズ」、スタイリッシュなデザインに加え、縦折れ機能で転がし移動もできる強み「BESV PSF1」が有名だ。サイクリング向け折りたたみE-Bikeの中でも、ESR VENTIは低価格とパワフルでスポーティな走りでTern VektronシリーズとBESV PSF1のライバルになる可能性はあるだろう。
文:松本健多朗
関連記事
関連リンク