損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)は4月27日、「自転車保険に関するアンケート」を実施したと発表した。
自転車事故により加害者に高額な賠償金を請求する判決が増加しているなか、自転車事故による被害者救済の観点から、条例により自転車保険の加入を義務付ける自治体が増えてきている。損保ジャパンは、自転車保険の加入に対する意識調査や居住地域における自治体の条例有無などについて実態を確認するために、全国の10代以上を対象に「自転車保険に関するアンケート」を実施した。
アンケート結果では、自転車の加害事故例として、数千万円の賠償金を支払うケースがあることを約8割の人が知っている一方、居住地域において、自転車保険の加入が条例で義務化や努力化されているのかわからない人が約4割、自転車保険の加入率は、加入が義務化されている自治体とされていない自治体とでは約1割の差異があることがわかった。また、自転車保険に加入しない方の理由として、「自転車保険について考えたことがなかった」という声が多いとのこと。以下、リリースから。
Q1.お住まいの自治体では条例で自転車保険の加入が義務化(努力化)されていますか?
(回答者数:47,090名)
Q2.自転車の加害事故例として数千万円の賠償金を支払わなくてはならないケースがあることを知っていますか?(回答者数:47,090名)
Q3.自転車搭乗中の事故における「賠償」しくは「ケガ」を補償する保険に加入されていますか?(回答者数:47,090名)
Q4.自転車保険に加入されていない理由は何ですか?(回答者数:6,758名、複数回答可)
5.今後について
全国における条例化の動きに伴い、自転車保険の契約件数は2019年度と2020年度の1年間で40%弱増加するなど、自転車保険をはじめとする自転車搭乗時の事故に備える保険への関心が高まっています。損保ジャパンは今後も、自転車保険に関する制度のさらなる発展や高額賠償に備える補償の加入率向上に取り組み、加えてさまざまな自治体や企業・団体と相互に連携し、自転車事故の減少を目指すべく、安心で安全な自転車社会の実現に向けて貢献していきます。
6.専門家コメント 自転車活用推進本部 前自転車の活用推進に向けた有識者会議委員 長嶋 良
調査結果をみると、自転車保険に関する意識が高まってきたこと、加入率が向上してきたことが覗えます。
自転車保険は、自転車が加害者になる事故の被害者およびその家族の救済を主たる目的としていますが、一方で加害者となり賠償責任を負った自転車運転者やその家族の負担軽減にも通じるものです。
有識者会議の下に設置された「自転車の運行による損害賠償保障制度のあり方等に関する検討会」において、自動車と同様の自賠責保険制度についても検討しました。その際の試算では自転車1台あたりの保険料が年間数千円にもなるということで、免許制度や登録制度のない自転車の利用者に負担を強いるのはいかがなものかという考えに至りました。そこで、当面は自治体の条例で損害賠償保険の加入を義務付けて加入を促進し、加入率を高めることで被害者救済に資することになるであろうと考え、自転車活用推進本部で標準条例案を作成し自治体の条例化を促進してきたのです。
自転車保険は、万が一の自転車事故の際に、相手方に対する賠償責任を担保することができる保険です。現在、いろいろな自転車保険が商品化されていますが、その補償内容はさまざま。自転車保険の目的が「相手方に対する賠償責任を果たすこと」にあることから、補償内容としては「賠償責任に対する補償が最低1億円以上」に加えて被害者に対する「入院・手術や休業の補償」や「物の損害の補償」などが可能であることが求められています。自転車保険の中には、重度後遺障害以上の事故にしか適用されない、入院等は見舞金(一時金)のみ、物の損壊は対象外というものもあります。いざというときに「補償されない」ということにならないよう、加入する際には補償内容をよく確認することが重要です。また、自分や家族のケガを補償する内容の商品もあるので、ご自分の加入する他の医療保険等の内容を勘案して検討するのも良いでしょう。
自転車を利用する皆さん!交通ルールを守り、安全運転に努めるとともに、万が一の自転車事故に備えて損害賠償保険に加入しましょう。
自転車事故の減少と一層加入率が高まることを期待しています。
◆アンケート期間
2021年1月26日(火)~3月30日(火)
◆アンケート方法
インターネット(PC、携帯電話モバイルサイト)
◆アンケート対象地域
全国
◆アンケート対象者
10代以上の自転車利用者
◆有効回答数
47,090名
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