レーシングロードバイクやマウンテンバイクで有名な自転車ブランド「Specialied」。海外では2010年代から、E-Bikeを製造していたが、長らくの間、日本市場では販売されていなかった。そんな中、2020年に登場し一躍有名となったのが「Turbo SLシリーズ」だ。
日本市場に導入されているSpecialized製E-Bikeの一番の特徴が軽さだ。Turbo SLシリーズの特徴は、従来の人力自転車(ペダルバイク)のフィーリングを重視したE-Bikeだということ。モーターの重量を従来型のE-Bike(3キロ台が多い)よりも軽量な1.95キロにし、バッテリーのサイズを一般的なE-Bikeよりもコンパクトなバッテリーにするなど、様々な部分で軽量化を重視した設計にすることで、一般的なE-Bikeよりも軽いのが特徴だ。
重量はE-ロードバイクの「Turbo Creo SL」の場合、S-Works Creo SLなら12.2キロと、クラス最軽量を実現。E-クロスバイク「Turbo Vado SL」は重量15キロ台と、一般的なE-Bikeと比較して40パーセント軽量なのを売りにしている。
Turbo SLシリーズの特徴
従来のE-Bikeと比較して軽さを重視したドライブユニット
Specialized Turbo SLシリーズ(Turbo Creo SL、Turbo Vado SL、Turbo Levo SL)には、「Specialized SL1.1」という自社製ドライブユニットを搭載している。
Specialized SL1.1モーターのスペックは重量1.95キロ、最大出力240W、最大トルク35Nm。因みに、一般的なE-Bike用モーター(Bosch Performance Line CX)の場合、重量2.9キロ、定格出力250W、最大トルク85Nm(2021年モデルの場合。2020年モデルは75Nm)。従来型E-Bikeと比較して、パワーとトルクを少なくした代わりに、ドライブユニットをコンパクトに仕上げた。
Sprcializedによれば、アシストはさまざまなケイデンス範囲で一貫したパワフルなアシストを発揮させ、自然なペダリング感覚を得られるようにチューニングを施したとのこと。走行モードはECO、SPORT、TURBOの3種類。アシスト力は、ECOモードでモーター出力の30%、SPORTモードで60%、TURBOモードで100%となる。また、モーターから一切のアシストを受けたくない非アシストモードも搭載されている。
人力自転車感を重視したフィールで、力強い追い風のようなアシスト感とアシストOFFでも走行感が変わらないアシストは、E-Bikeというより夢のペダルバイク(人力自転車)に近い感覚だ。
従来型E-Bikeとフィーリングの違いは?
低トルク、軽量E-BikeのTurbo SLシリーズと、高トルクの従来型E-Bikeは何が違うのか。
シマノやBosch、ヤマハなどの従来型E-Bikeは、モーターの力強いトルクを生かして、平地や上り坂ではグイグイと走る事ができる。そのため、強い力を活かせばフルサスE-MTBでも、上り坂を時速18キロで走行し、人力ロードバイクを抜いていく芸当もできる。
その一方で、重いバッテリーを車体に装着しているため、コーナリングは人力自転車(ペダルバイク)とはジャンルが違う乗り味だ。また、アシストが切れる時速24キロ以上のスピードでは、人力自転車と比較して加速が緩やかだ。
軽量・低トルクユニットのE-Bike「Specialized Turbo SL」シリーズは、従来型E-Bikeとは違い人力自転車の発展型だ。E-ロードバイク「Turbo Creo SL」やE-クロスバイク「Turbo Vado SL」では、アシストが切れる時速24キロ以上の速度でも、人力自転車に近い感覚でスイスイと走行できる。
フルサスE-MTB「Turbo Levo SL」に関しては、舗装路では、従来型E-Bikeに搭載されている高トルクユニットを搭載したフルサスE-MTBのように、上り坂を時速18キロで走行し、人力ロードバイクを抜いていくのは難しい。その一方で、従来のE-MTBには無い車体のバランス感が良く、舗装路ではなくMTBコースで試乗したいと思った。
ハンドリングは、軽量なバッテリーを内蔵することにより、バッテリーの重さを感じさせない自然なハンドリングを実現。重いバッテリーを搭載したE-Bikeでは、前後重量配分が悪く、前輪過重気味のモデルが少なくないが、Turbo SLシリーズは前後バランスが良く、人力自転車に一番近いE-Bikeだ。
バッテリーは完全内蔵式でレンジエクステンダーを用意
Turbo SLシリーズのバッテリーは、軽量化のために一般的なE-Bikeとは違い、バッテリーはユーザーが外すことはできない。内蔵バッテリーは単体で最長約130キロの走行可能。また、ボトルケージに装着できるレンジエクステンダーも用意しており、こちらを使う場合は最長で約65キロ追加できる。
内蔵バッテリーの容量は320Wh、レンジエクステンダーは160Wh。内蔵バッテリーは、最短2時間35分で充電完了できる。
スマートフォンでアシストを調節する「MISSION CONTROL」を搭載
SpecializedのE-Bikeには、スマートフォンでモーターアシストを調節する「MISSION CONTROL」を搭載している。MISSION CONTROLは、これまでに記録した膨大な量のライドデータを使い、Turboの能力を引き出せるアプリ。ドライブユニットには3種類のアシストモードがあり、各モードでは最大出力およびアシストの持続力の両方を調整できる。
それだけでなく、Smart Controlを用いてバッテリー残量を自動で管理することも可能。走りたい距離や時間を入力するだけで、ライドを完了するのに必要な残量が確保できる。
他にも、ライドの内容を記録してサードパーティーのアプリに送信を行ったり、各種数値をANT+対応のコンピュータに送信するパワーメーターを内蔵した。
参考URL:https://www.specialized.com/jp/ja/missioncontrol
Turboシリーズ専門のサービスを用意
SpecializedのE-Bike「Turbo」シリーズには、メンテナンスプランにオーナー向け保険、ロードサービスなど、様々なサービスが用意されている。ここではSpecialized Turboシリーズ専門のサービスを紹介しよう。
TURBOメンテナンスプラン
TURBOメンテナンスプランは、事前にメンテナンス料金をまとめて払う事で、メンテナンス料金がお得になるプラン。TurboシリーズのE-Bikeを新車購入時にメンテナンスプランに加入すると、点検・整備にかかる工賃を2年間で最大38,000円(税別)割引となる。プランは1年パックと、2年パックの2プランを用意。いずれのプランも、消耗品の代金は含まれない。
参考URL:https://www.specialized.com/jp/ja/turbo-maintenance
TURBOオーナー向け保険
TURBOオーナー向け保険は、Turboシリーズを購入した時に付帯される自転車保険。自転車搭乗中等の自転車に係る事故によって傷害(ケガ)を被った場合に支払う保険。補償内容は、個人賠償責任(示談あり)最大1億円、死亡・後遺障害保険金(1-7級)100万円(ヘルメット着用中死亡の場合は+100万円)、入院一時金(免責2日)1万円。一年間限定の保険になり、補償終了時にはau損保より同程度の保険の案内が送られる。
参考URL:https://www.specialized.com/jp/ja/turbo-insurance
TURBOオーナー向けロードサービス
TURBOオーナー向けロードサービスは、Turboシリーズを購入した時に付帯されるロードサービス。出先でのトラブルにより走行不能となったE-Bikeを希望の場所まで無料で搬送を行う。50キロまで無料搬送を行い、自宅からの搬送も可能だ。年3回利用可能で提供期間は1年間となる。
参考URL:https://www.specialized.com/jp/ja/turbo-insurance
スペシャライズド残価据置型ローン「TURBO専用ファイナンスプログラム」
スペシャライズド残価据置型ローン「TURBO専用ファイナンスプログラム」は、車両価格の一部を最終支払いまで据え置くことで月々の負担を軽減するファイナンスプラン。 据置額とローンの頭金、ボーナス月加算が設定可能で、月々の支払い額をできるだけ少なくする、予算よりワンランク上のバイクに乗る、モデルチェンジのときにスムーズに乗り換えたい人のニーズに提供する。
スペシャライズド残価据置型ローンは、車体の現金価格から一部を据え置き、残りを24回で分割し、25回目に据置額を精算する。据置額は価格の20%を上限に1,000円から任意に設定可能。実質年率は2.9%。 最終回の支払いの際に、下取り・清算・再ローンのいずれかを選択し、据置分を精算する。
- 下取り:バイクを返却して据置額を清算(新車に乗り換えの場合、据置額の差額を下取り額に充当)
- 精算:据置額を一括支払い。バイクはそのまま乗ることができる。
- 再ローン:通常ローンで据置額を支払い。バイクはそのまま乗ることができる。
また、下取りの際には、バイクの状態や据置額の設定によって、精算の際に支払いや返金が発生する場合がある。対象車種は、S-Works Turbo Creo SL、Turbo Creo SL Expert、Turbo Creo SL Expert EVO。
参考URL:https://www.specialized.com/jp/ja/turbo-support
SpecializedのE-Bike一覧
Turbo Creo SL(E-ロードバイク)
Turbo Creo SLは、発表して直ぐに話題となった軽量E-ロードバイク。軽量・小型ドライブユニット「Specialized SL1.1」に、軽量なFact 11rカーボンフレームかE5アルミフレームを組み合わせることで、従来のE-ロードバイクよりも軽量なE-Bikeに仕上がったのが特徴。
車体は、グラベルロードバイク「DIVERGE」で採用されているOpen Roadジオメトリー。機敏な走りとハイスピードでの安定した操作性や安心感を両立し、オンロードからグラベルまで幅広い用途に対応している。タイヤクリアランスは、700Cで最大で42mmのタイヤが装着可能。また、フェンダーを使用した場合は、最大で38mmのタイヤに対応している。650Bホイールの使用もでき、その場合、最大で47mmのタイヤを履くことが可能。フロントフォークはFuture Shockを搭載。
ラインナップはE-ロードバイクの「Turbo Creo SL」シリーズと、E-グラベルロードの「Turbo Creo SL EVO」の2種類。カーボンフレームモデルとアルミフレームモデル(E-ロードバイクのTurbo Creo SLのみ)があり、価格はTurbo Creo SL E5 Compで50万円(税抜、以下同)から。
Turbo Levo SL(E-MTB)
Turbo Levo SLは2020年2月に登場したSpecializedのフルサスE-MTB。前後150mmのサスペンショントラベルを採用した29インチのトレイルタイプのフルサスE-MTB。車体デザインはスペシャライズドのフルサスMTB「StumpJumper」のスタイルを受け継いだ、人力自転車(ペダルバイク)のような自然なデザインだ。カーボンフレームモデルとアルミフレームモデルがあり、価格はTurbo Levo SL Compで51万4800円から。
Turbo Vado SL(E-クロスバイク)
Turbo Vado SLは2020年5月に発売したTurbo SLシリーズ唯一のE-クロスバイク。700Cホイールと38ミリタイヤを装着し、一般公道での乗りやすさを重視したモデル。最大タイヤサイズは700Cホイールの場合は最大で42ミリまで、フェンダーを使う場合は38ミリまで対応している。650Bホイールにも対応できる設計を採用しており、その場合タイヤ幅は47ミリまで対応している。
LEZYNE製フロントライトとテールライトを全車に標準装備しており、日常のライドにも対応。また、荷台と泥除けを装着した「EQ」グレードを用意している。フレームはアルミフレームのみ。価格はTurbo Vado SL 4.0で32万6700円から。
アスリートや企業にサポートを実施
Turbo SLは、国内最高峰自動車レース「スーパーGT」に参戦している国内トップドライバーの笹原右京選手や、カヌースラローム日本代表銅メダリスト「羽根田卓也」選手がアンバサダー契約を結んだり、自転車で有機栽培コーヒーを届ける「バイシクルコーヒー東京」などに、SpecializedのE-Bikeを供給している。
E-Bikeでオーガニックコーヒーをデリバリー スペシャライズドがバイシクルコーヒーにE-Bike「VADO SL」を供給すると発表
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