ボッシュジャパンは7月10日、日本を中心としたアジア太平洋地域でのE-Bikeビジネス拡大に向け、「日本市場向け2021年モデルの製品ラインナップ拡大」「台湾にBosch eBike Systemsアジア太平洋本社を設立」「西日本最大級のeBike専用マウンテンバイクコースをオープン」の、3つの取組みに関して発表した。
日本市場向けBosch Performance Line CXの2021年モデルを発表 本場欧州に引けを取らない製品ラインナップの拡充
日本市場向けBosch E-Bike Systemに、Bosch Performance Line CXがマイナーチェンジと、バッテリーラインナップの拡充を発表した。
日本市場向けBosch Performance Line CXの2021年モデルを発表
Bosch Performance Line CXは、Bosch製E-Bikeユニットの中でも、E-MTB等のスポーツタイプ向けのE-Bike用ドライブユニット。2019年にモデルチェンジを実施したPerformance Line CXの開発コンセプトは「Uphill flow(坂を駆け上がる楽しみ)」。マグネシウム材の使用と内部機構の新設計により従来モデルより25%の軽量化と48%の小型化を達成し、欧州市場で支持を得ていることで知られている。
2021年モデルのPerformance Line CXは最大トルクが2020年モデルから10Nm増え、日本国内で公道走行可能なE-Bikeユニット最大の85Nmとなる。また、増加したパワーをライダーの意のままに操る為に、トレイル(山野の未舗装路)でのテクニカルな走行に適したアシストモード「eMTBモード」に対し、ライダーの踏力に対するドライブユニットの反応速度向上と、さらなる加速感をもたらす“Extended Boost(エクステンデッド ブースト)”チューニングが施された。
Extended Boostは、ライダーが路面状況に対して高めのギアを使用し、岩や木の根といった障害物を高速で走り越えながら走行する際に、瞬間的にモーターアシストを高める(ブースト)事で、ライダーへの違和感を抑えつつも、トレイルでの走破性を高めるアシストセッティングとなる。
2021年モデルのPerformance Line CXは2020年夏発売の2021年モデルE-Bikeより順次、搭載予定(搭載モデル詳細は、各自転車メーカーからの発表による)。
走行距離に応じた容量別バッテリーラインナップの拡大
今までは、E-Bikeの本場欧州で展開するバッテリーラインナップの一部である3タイプのみが日本国内で販売されていたが、2021年モデルから、フレーム内蔵型バッテリーのPowerTube 625(パワーチューブ625:容量約625Wh)フレーム外付け型バッテリーのPowerPack500(パワーパック500:容量約:500Wh)、PowerPack400(パワーパック400:容量約400Wh)を発表。PowerPack300/400/500, PowerTube400/500/625の合計6タイプのバッテリーラインナップとなった。
1充電当たりの航続距離は、EcoモードでActive Line Plusドライブユニットの場合、PowerPack 400は135キロメートル、PowerPack 500は167キロメートル、PowerTube 625は208キロメートルとなる。
互換性に関しては、フレーム外付け型のPowerPackシリーズは取り付け互換性がある為、現在使用しているPowerPack300から、PowerPack400/500に交換して使うことが可能。PowerTube 625はバッテリー全長がPowerTube400/500よりも長い為、取り付け互換性は無い。ただし、PowerTube500を標準搭載している一部E-BikeはPowerTube625との互換性をフレーム側に持たせてある為、該当しているE-BikeはPowerTube 500からPowerTube 625に交換可能。発売時期は、2020 年10 月末頃から自転車販売で販売予定。
2本のバッテリー使用で航続距離が倍増する「DualBattery(デュアルバッテリー)」が登場
2021 年モデルより、バッテリーを 2 個同時に使用する事で 1 充電あたりの航続距離を伸ばすシステム「DualBattery」が登場。これにより、Performance Line CX、PowerTube625+PowerPack500 合計約1125Whの場合、最大で1充電当たりの航続距離が188キロメートル(Turbo モード)から375キロメートル(Ecoモード)となる。
互換性はPowerPack 300、PowerTube 400はデュアルバッテリーシステム非対応の為、上記2種類を除くバッテリー同士を好きな組み合わせで使用可能。サブバッテリーをフレームに搭載を行うキットは一部自転車メーカーから販売予定。デュアルバッテリー用ケーブルセット(ボッシュ製品)は、2020年10月末頃から自転車販売店で販売予定となる。
E-Bikeも繋がるコネクテッド時代へ。スマートフォンとの連携機能を有する小型カラーディスプレイ「Kiox」が登場
2019 年に欧州で先行販売された「Kiox(キオックス)」が2021 年モデルより日本国内に導入される。Kioxは環境に合わせた自動調光機能を有する1.9 インチ高解像度のカラーディスプレイに、速度、バッテリー残量や時刻といった基本情報だけでなく、ライダーがペダルを漕いでいる力「出力W(ワット)」や、Bluetooth 接続の心拍計(別売り)との連動による心拍等が表示可能。
また。オフロード走行による画面破損に強いガラスを採用しており、ディスプレイは裏面の磁石によりE-Bike本体側と固定され、E-Bike本体からワンタッチ着脱可能。また、Intuviaディスプレイと同じく、Kiox を経由して、E-Bike用バッテリーからスマートフォン等の充電が可能だ。
そしてBluetooth経由でスマートフォンと連動する事で、ボッシュ製スマートフォン用アプリケーション「eBike Connect app」に走行データを連動させる事ができ、走行後にライドの軌跡やトレーニング状態の確認ができる。
互換性は、既存のディスプレイ「Intuvia(イントゥービア)」、「Purion(ピューリオン)」と取り付け互換性があり、既存ディスプレイからKiox に交換が可能。発売時期は2020年10月末頃から自転車販売店で販売予定。
アジア太平洋地域本社を自転車産業の本場、台湾に設立
世界のE-Bike生産の中心が台湾、ベトナム、中国で、中でも台湾は世界で稀を見る有数の自転車産業の集合地域として知られている。自転車産業とのさらなる連携を深める為に、2020年6月に台湾 台中市内にBosch eBike Systems (電動自転車システム事業部)のアジア太平洋地域本社を設立した。
アジア太平洋地域本社内にはテクニカルトレーニングセンターを併設し、自転車産業のパートナー企業(自転車完成車企業、自転車組み立て企業、自転車部品企業)に対しても、迅速に密なサポートを提供する。また、新しいアジア太平洋地域本社は技術サポート&サービスだけでなく営業・マーケティング・商品企画・事業開発・品質管理機能を有し、既に市場参入しているオーストラリア、ニュージーランド、日本のE-Bikeビジネスの拡大と、台湾を中心とする自転車産業との技術的な連携を担う。
“遊び場の提供“ eBike専用マウンテンバイクコースのオープン
アメリカ発の世界最大規模のスポーツ自転車ブランド”TREK”を販売するトレック・ジャパンと共に、スキー場「アップかんなべ」(兵庫県豊岡市)にあるマウンテンバイクフィールド「UP MTB PARK IN KANNABE」内に、西日本エリア最大のE-MTB専用コース「Bosch Uphill Flow Volcano(ボッシュ アップヒル フロー ボルケーノ)」を6月27日( 土)にオープンした。
国土の7割が山岳地帯というマウンテンバイクに適した環境である日本では、1990年代から2000年代にかけてマウンテンバイクが大ブームとなった。一方で、同じ山道を利用するハイキングやトレイルランニング愛好家との折り合い、私有地での無断走行等、ブーム故の課題に直面し、2018年度マウンテンバイクはスポーツ自転車の新車販売台数の1割程度にまで落ち込んだ。
他方で、プロマウンテンバイクライダー阿藤寛氏の「安全にMTBを楽しめ、子供たちにMTB文化を伝える場を作りたい」という願いに賛同した584人からのクラウドファウンディングにより得た539万5,500円の資金調達にて、MTBコース「UP MTB PARK IN KANNABE」が2019年7月にオープン。
上記に賛同したBosch eBike Systemsとトレックジャパンは、日本に新しいマウンテンバイク文化を築き上げていく為に、阿藤氏監修のeMTB専用コースを2020年6月末にオープンした。本コースでは、ボッシュ製ドライブユニット(モーター)「Performance Line CX 」を搭載し、79万円(税抜き)と高額ながらも発売後2週間で完売した最新機種Trek「Rail 9.7」のレンタルを実施している。
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