近年、ロードバイクの世界で流行しているのがディスクブレーキだろう。今では、ディスクブレーキロードバイクは15万円を切る低価格帯のエントリーモデルでも採用している事もあり、従来型のキャリパーブレーキのロードバイクは衰退しつつある状況だ。
ディスクブレーキロードバイクの利点は、ブレーキ性能が高いという事。キャリパーブレーキで問題になる晴天時と雨天時のブレーキングの差が、ディスクブレーキでは少ないため、時を問わず強力な制動力が得られる。また、油圧ディスクブレーキの場合、ワイヤーよりも軽い力でブレーキがかけられるため、初心者でも運転しやすい。また、ロングアーチブレーキ等のクリアランスが大きいキャリパーブレーキは、進化が止まっているため制動力強化が難しいが、ディスクブレーキでは部品交換で簡単に制動力を上げられるのも魅力だ。
制動力以外の利点としては、ブレーキシューが減ることによる汚れがないため、リムを綺麗に保つのが簡単だと言う事だ。輪行等で車輪を外す時、ブレーキシューのカスが手に付いて汚れを取る面倒が無いのは大きな利点だ。また、フレームとタイヤのクリアランス(隙間)が取りやすいため、太いタイヤが装着できるロードバイクが増えているのも魅力だ。
勿論、ディスクブレーキの欠点もある。フレームの剛性強化と部品点数の増加で車体重量が増える。ホイール等の部品選択肢が少ない、剛性強化で先端部分の剛性が高く、リムブレーキタイプよりもしなりにくく、乗り心地が硬いモデルがある。そのような欠点があっても、強力な制動力は魅力だろう。
15万円以下のディスクブレーキロードバイクはどのようなのがあるか?
ロードバイク用ディスクブレーキには、ワイヤーを使用してブレーキパッドを押し出す「機械式」、オイルの圧力を使いブレーキパッドを押し出す「油圧式」、ワイヤーを経由してオイルの圧力を使いブレーキパッドを押し出す「ハイブリッド仕様」の3種類がある。
機械式の利点は、低価格でメンテナンスも簡単なためコスト面に優れている事。一方でワイヤーを使うため、油圧式やハイブリッド式と比較するとブレーキをかけた時は重くなってしまう欠点がある。15万円以下のディスクブレーキロードバイクの中では、一番主流の方法だ。
ハイエンドディスクブレーキロードバイクで主流な油圧式の利点は、軽いタッチでブレーキがかかる事。欠点は、油圧式専用のデュアルコントロールレバー等の専用部品を使う必要がある、油圧式特有のメンテナンスが必要でコストがかかる欠点がある。
機械式のデュアルコントロールレバーを使い、油圧ブレーキを引くハイブリッド式は、機械式のデュアルコントロールレバーを使いながら、機械式よりも軽いタッチでブレーキがかかるため、コストと制動力を両立できる。欠点は、ワイヤーがあるため油圧式と比べてワイヤーの摩擦感が出てしまうのと、マイナーな仕様のため部品のラインナップが少ない事。完成車で採用する例は少ない。
「機械式ディスクブレーキ搭載」ディスクロードバイク一覧
FELT VR60
FELTのロードバイク「VR60」は、わずかに寝かせたヘッドアングルとロングホイールベースを採用したマルチロードバイク。競技用ロードバイクよりも上体の起きたアップライトポジションを採用し、35mm幅のタイヤも装着できるため、23Cタイヤを装着してスポーツライドを楽しんだり、35Cタイヤを装着してロングライドや街乗りもできる。価格は108,000円(税抜)。
- フレーム:FLite custom バテッドアルミ、BB386シェル、12 x 142mmスルーアクスル、フラットディスクマウント、機械式専用
- フロントフォーク:Felt Variable Road UHC Advanced カーボンモノコック、カーボンコラム、フラットディスクマウント、12 x 100mmスルーアクスル
- 重量:-
- ブレーキ:Tektro MD-C550 dual piston ディスク、160mm ローター
- ギア(前-後): Shimano Claris R2000、50/34T-8スピード、12-34T
- タイヤ/ホイールサイズ:Vittoria Zaffiro、700 x 28c
- 前後12ミリスルーアクスル。リムはDevox Variable Road VR21、チューブレスレディ
出典:riteway-jp.com/bicycle/felt
GIANT Contend AR3
GIANTのロードバイク「Contend」をベースにし38Cタイヤまで装着可能なフレームを採用したオールロードバイク。D-Fuseピラーに32Cタイヤ、フェンダー装着などの汎用性を備えている。価格は125,000円(税抜)。
- フレーム:ALUXX-Grade Aluminum OLD142mm,D-FUSE Seat Pillar
- フロントフォーク:Advanced-Grade Composite,Full Composite OverDrive Column 12mm Axle
- 重量:10.1kg
- ブレーキ:TEKTRO MDC550 TR160mm
- ギア(前-後):Shimano SORA 50/34-SHIMANO HG400 9S 11-34T
- タイヤ/ホイールサイズ:GIANT S-R3 AC 700x32C
- 前後12ミリスルーアクスル。ホイールセットはGIANT S-R2 DISC WheelSet 28H
出典:giant.co.jp
GT GTRシリーズ
グラベルロードバイクで有名なGTは、ロードバイク「GTR」シリーズも用意している。やや前傾姿勢のスポーツライド向けのディスクブレーキロードバイクで、10万円を切るモデルも用意している。
GTR Sport
GTRシリーズで一番低価格のモデル。10万円を切る貴重なディスクロードバイクの1つだ。価格は99,800円(税抜)
- フレーム:GTR アルミ、スレッドBB、フラットディスクマウント
- フロントフォーク:GTR フルカーボンフォーク、1 1/8 – 1 1/4″ テーパード、フラットディスクマウント、12mm スルーアクスル
- 重量:-
- ブレーキ:Promax Render R 機械式ディスク、160mm ローター
- ギア(前-後):FSA Tempo、50/34-Sunrace、11-32、8スピード
- タイヤ/ホイールサイズ:Vittoria Zaffiro、700 x 28c
- 前後12ミリスルーアクスル。リムはAlex ATD470、28h front、32h rear、チューブレスレディ
GTR Comp
GTRシリーズで一番高価なモデル。基本的にはリアスプロケットの段数が9段にアップグレード。価格は118,000円(税抜)。
- フレーム:GTR アルミ、スレッドBB、フラットディスクマウント
- フロントフォーク:GTR フルカーボンフォーク、1 1/8 – 1 1/4″ テーパード、フラットディスクマウント、12mm スルーアクスル
- 重量:-
- ブレーキ:Promax Render R 機械式ディスク、160mm ローター
- ギア(前-後):FSA Tempo、50/34-Sunrace、11-32、9スピード
- タイヤ/ホイールサイズ:Vittoria Zaffiro、700 x 28c
- 前後12ミリスルーアクスル。リムはAlex ATD470、28h front、32h rear、チューブレスレディ
Khodaa-Bloom STRAUSS DISC SORA
レーシングロードバイク「FARNA SL2」の後継モデルと言えるSTRAUSS DISCシリーズ。フレームパイプの最薄部は0.85mmと極限まで薄くトリプルバテッド加工を行っている。STRAUSS DISC SORAはシリーズで一番安いモデルだ。価格は119,000円(税抜)。
- フレーム:All-New“EAST-SL”Triple Butted,Smooth Weld,BB86,142x12thru-axle,flat-mount disc
- フロントフォーク:All-New,Tapered Full Carbon Fork,1-1/8” to 1-1/2”,100x12thru-axle, flat mount disc
- 重量:-
- ブレーキ:TEKTRO MD-C550
- ギア(前-後): SHIMANO FC-R3000 50X34-SHIMANO CS-HG201-9 9S 11-32T
- タイヤ/ホイールサイズ:Continental ULTRASPORT 700X25C
- 前後12ミリスルーアクスル。
Khodaa-Bloom FARNA DISC Claris
ディスクロードでは貴重な8万円台で購入できるモデル。小柄で手足が短めな日本人に合わせたフレーム設計のエンデュランスロードバイク。価格は89,000円(税抜)。
- フレーム:All-New“EAST-L”Triple butted.SmoothWeld ,BSA,142x12thru-axle,flat-mount disc
- フロントフォーク:All-New, Tapered Full Carbon Fork1-1/8” to 1-1/2” ,100x12thru-axle, flat mount disc
- 重量:-
- ブレーキ:TEKTRO MD-C550
- ギア(前-後): SHIMANO FC-R2000 50X34-SHIMANO CS-HG200-8 8S 12-32T
- タイヤ/ホイールサイズ:Continental ULTRASPORT 700X25C
- 前後12ミリスルーアクスル。
NESTO ALTERNA DISC
レーシングジオメトリを採用したNESTOのディスクロードバイク。コンポーネントにシマノ105を採用するだけでなく、プレスフィットBB、フラットマウントディスクブレーキ、NOVATEC 社製ハブを採用し、139,000円(税抜)と、他にはない低価格を実現した。
- フレーム:6061アルミ スムースウェルディング
- フロントフォーク:フルカーボンフォーク 1-1/8~1-1/2
- 重量:9.0kg
- ブレーキ:SHIMANO BR-RS305 機械式ディスクブレーキ
- ギア(前-後): SHIMANO FC-R7000 50X34T-SHIMANO CS-R7000 11S 11-32T
- タイヤ/ホイールサイズ:MAXXIS RE-FUSE FOLDABLE 700x25C
- 前後12ミリスルーアクスル。
機械式+油圧式のハイブリッド仕様のディスクブレーキロードバイク
機械式用レバーで、油圧ブレーキを引くハイブリッド式を採用しているディスクロードバイクはマイナーだ。15万円以下で購入できるモデルで有名なのはGIANT Contend AR2ぐらいだろう。
GIANT Contend AR2
GIANTのロードバイク「Contend」をベースにしたオールロードバイク。機械式レバーを使用して油圧ディスクを操作する独自システム「コンダクト」を採用。ワイヤーをできるだけ短くし、油圧部分を長く取っている。価格は150,000円(税抜)。
- フレーム:ALUXX-Grade Aluminum OLD142mm,D-FUSE Seat Pillar
- フロントフォーク:Advanced-Grade Composite,Full Composite OverDrive Column 12mm Axle
- 重量:10.1kg
- ブレーキ:TEKTRO MDC550 TR160mm
- ギア(前-後):Shimano TIAGRA 50/34-SHIMANO HG500 10S 11-34T
- タイヤ/ホイールサイズ:GIANT GAVIA FONDO 2 700x32C Tubeless Ready
- 前後12ミリスルーアクスル。ホイールセットはGIANT S-R2 DISC WheelSet 28H
出典:giant.co.jp
油圧ディスクブレーキロードバイク
ハイエンドモデルでメインになっている油圧ディスクブレーキロードバイク。軽いタッチでブレーキがかけられるのが魅力だが、高価なのが欠点だった。しかし、2020年モデルでは15万円以下で購入できるモデルが登場しており、普及する可能性はあるだろう。
Khodaa-Bloom FARNA DISC TIAGRA
エンデュランスロード「FARNA DISC」のミドルグレード。139,000円(税抜)で、Shimano TIAGRAフル油圧ディスクブレーキ搭載車が購入できる。日本人の手でも握りやすいショートリーチブレーキレバーを装備している。
- フレーム:All-New“EAST-L”Triple butted.SmoothWeld ,BSA,142x12thru-axle,flat-mount disc
- フロントフォーク:All-New, Tapered Full Carbon Fork1-1/8” to 1-1/2” ,100x12thru-axle, flat mount disc
- 重量:-
- ブレーキ:SHIMANO BR-4770 油圧式ディスクブレーキ
- ギア(前-後): SHIMANO FC-4700 50X34-SHIMANO CS-HG500-10 10S 11-32T
- タイヤ/ホイールサイズ:Continental ULTRASPORT 700X25C
- 特記事項:前後12ミリスルーアクスル。