ロードバイクのトレンドの1つと言えばディスクブレーキだろう。自動車やオートバイ、マウンテンバイクのようにブレーキローターで制動し、ハイエンドロードバイクやグラベルロードバイクを中心に普及している。
その一方で、手頃な価格で購入できるエントリーグレードのロードバイクに、ディスクブレーキが搭載されている例は少ない。仮にディスクブレーキが搭載されている場合でも、ほとんどがグラベルロードバイクなのが実情だ。
しかし、そんな状況でも手頃な価格で購入できるディスクロードバイクはある。特に、今回紹介するNESTO ALTERNA DISCは、国内販売中の19万円未満ディスクロードバイクにおいて最軽量(9.0kg)で、シマノ105を搭載し、車体価格が139,000円と、他社では見られない低価格を実現している。
ALTERNA DISCとは、どんなロードバイクか
ALTERNA DISCは、NESTOのロードバイク「ALTERNA」のディスクブレーキバージョン。しかし、ALTERNAにディスクブレーキを装着しただけでなく、フレーム、フロントフォーク等の設計を全面的に変えているため、全く別の自転車となっている。
NESTO ALTERNA(税抜き¥89,000)
フレームはALTERNAよりもシャープなデザインになっているだけでなく、BBの中心から前輪車軸までを一直線で結んだ線の長さを表すフロントセンターや、BBの中心から後輪車軸までを一直線で結んだ線の長さを表すリアセンターを短くした。レースレプリカ風味ながら安定性を重視したALTERNAとは違い、俊敏性を重視している。
フロントフォークはフルカーボンフォークを採用。ラフな取扱はできない一方で、軽量なのが特徴だ。
ブレーキはSHIMANO BR-RS305。片押しタイプのワイヤー式ディスクブレーキだ。低価格モデルで使われているTEKTRO Mira(搭載車:Specialized Diverge E5)と比べると制動力に不満はなく、ブレーキをかけた時も価格を考えると軽い力で引くことができる。あとは長期間使用した時のブレーキパッドの片減りだろう。
コンポーネントはシマノ・105。レースユーザーやスポーツライドを行うユーザー向けのグレードだ。クランクなど細かい部分にも105を採用している。フロントのギア(クランク)はSHIMANO FC-R7000 50X34T、リアのギア(スプロケット)はSHIMANO CS-R7000 11S 11-32T。
ホイールはNOVATEC製ハブに流行のワイドリムを装備。ディスクロードで主流の前後12ミリスルーアクスル規格(前12×100mm、後12×142mm)を搭載しているため、ホイールのアップグレードも容易だ。
今回、定例の試乗コースでALTERNA DISCに試乗した感想を一言で表すと、ケチをつける所が無いという事。重いギアを踏んでも良く走り、ブレーキもよく効く。乗り心地に関しては、微振動があるビリビリとした硬さではなく、サスペンションが硬い車のような硬さだ。ディスクブレーキを搭載し、車軸付近の剛性を上げているのと、スルーアクスルの太い中空シャフトで剛性があるため硬い。ただ、グラベルロードのSpecialized Diverge E5(12ミリスルーアクスル、フルカーボンフォーク、タイヤは複数種類仕様)の硬すぎてどうしようもないというわけではない。
15万円以下で購入できる貴重なレースタイプのディスクロードバイク
2019年現在、手頃な価格で買えるディスクロードは種類が少ない。仮にあったとしても、レースレプリカ以外のディスクロードが主流で、グラベルロードが多い。ロードバイクでも、低速での直進安定性を重視したエンデュランスロードのKhodaa-Bloom FARNA700 Discや、アップライトな乗車姿勢のエンデュランスロードバイクのFELT VRぐらいだ。
15万円以下で購入できるレースレプリカタイプのディスクロードと言えば、MERIDA SCULTURA DISC 200ぐらいだろう。こちらはサイズが5種類と多いが、Shimano Soraを採用しているため、コンポーネントのグレードは落ちる。
NESTO ALTERNA DISCは、手頃な価格でスポーツライドを行いたい人に向いている。現在のディスクロードバイクの主流である規格を採用し、ディスクブレーキは制動力も高く、油圧ディスクブレーキにアップグレードも可能だ。もし15万円以下でお薦めのロードバイクを挙げるのなら、ALTERNA DISCはその中の1台に挙げるだろう。