ファットスリック・ロードバイク/グラベルロードはどんな感じ?実際に試してみた

細いタイヤ・前傾姿勢・ドロップハンドルがついたロードバイク。今まではロードバイクと言えば、軽量な競技用モデルしかなかった。しかし、グラベルロードバイクがブームになり、従来のロードバイクとは違う「公道用ロードバイク」と言えるのが登場した。

従来のロードバイクよりも太いタイヤが装着できるグラベルロード。一般的に太いタイヤは砂利道など荒れた道を走るために装着するが、最近は太いスリックタイヤを履いてサイクリングを行う考えも登場した。

ファットタイヤ・ロードバイクという発想

 

今までサイクリング用のスポーツ自転車を選ぶとき、ロードバイク系統(ロードバイク・スピードクロスなど)の軽量な車体+細いタイヤか、マウンテンバイク系統(マウンテンバイク・デュアルスポーツクロスバイク)の頑丈な車体+太いタイヤの2種類から選ぶしかなかった。

ロードバイク系統(ロードバイク・スピードクロスなど)の軽量な車体+細いタイヤは、舗装路は軽快に走れる一方、舗装が荒れていると突き上げがあり、砂利道は慎重に通過しないといけない。また、ロードバイクなど舗装路を高速で走る自転車は、荷物が積めないため、長距離サイクリングには不向きだ。

マウンテンバイク系統(マウンテンバイク・デュアルスポーツクロスバイク)の頑丈な車体+太いタイヤは、車体が頑丈でタイヤが太いので荒れた砂利道が走れ、沢山の荷物も積むことができる。一方で舗装路は、ロードバイク系統の自転車と比べると軽快に走れない。

近年流行のグラベルロードは、ロードバイク系統(ロードバイク・スピードクロスなど)+αのソコソコ軽量な車体+細いタイヤという、今までの自転車には無い組み合わせを採用している。これにより、舗装路はマウンテンバイクよりも軽快に走れ、砂利道ならロードバイクより安心して走行できる。また、荷物の積載を想定した車種がほとんどなので、ある程度の実用性は持っている。

グラベルロードの登場により、一部の会社から「太いスリックタイヤを履いてサイクリングする」という考えのモデルが登場している。その考えは本当に良いのか試してみることにした。

ファットタイヤのロードバイクという新発想のロードプラスバイク Surly Midnight Special

ファットスリック・ロードバイク/グラベルロードの利点

今回、試してみたのはSpecialized Diverge E5に、タイヤにPanaracer GravelKing 38Cをチョイス。

8月に長野県の某林道を走行してみた所、上りは空気圧を落とせば比較的安定して走ることができた。下りは、マウンテンバイクのように安定して操縦できるわけではないが、ロードバイクやタイヤが細いクロスバイクでは押して歩くしかない所でも、走ることはできる。凹凸が無いスリックタイヤでも、タイヤが太いため普通の自動車が走れる砂利道なら走れるようだ。

舗装路は、ロードバイクのようにひたすら高速で走るのは向かないが、形に似合わず走る。サイクリングなら舗装路グラベルキング38Cのタイヤ重量は320gと、この手のサイズのタイヤにしては軽いのもあるだろう。因みにパナレーサーのクロスバイク用タイヤ「Comfy」は28Cで290g。32Cで310gだ。

舗装路で軽量でファットなスリックタイヤを装着する利点は、乗り心地と路面を選ばない所。ママチャリよりも幅が広い38Cタイヤは、スポーティなクロスバイクに搭載されている28Cタイヤと比べて、圧倒的に乗り心地が良い。特に荒れた舗装や段差を通過したときの衝撃は細いスリックタイヤを履いたマウンテンバイクに近い乗り心地。また、舗装路でもくぼみがある路面や、振動が大きいセメント舗装、濡れている舗装路でもリラックスして走ることができる。

ファットスリック・ロードバイク/グラベルロードの欠点

ファットスリック・ロードバイク/グラベルロードにも欠点はある。まず、タイヤを購入するときは軽量なタイヤを選ばないと楽しめない。クロスバイクなど細いタイヤは、3,000円クラスのタイヤを買えば、ソコソコ軽量な物が選べる。しかし、ママチャリよりも太いタイヤは1本3,000円程度だと重い物が多い。物によっては1本700gオーバーのタイヤもある。

また、一般的なロードバイクやクロスバイクはヒラヒラとコーナーを曲がることができるが、Diverge E5+Gravelking 38Cは、ヒラヒラ感がなく直進安定性が高いと感じた。これにずっと乗っているとヒラヒラ曲がるロードバイクやクロスバイクに乗りたくなるほどだ。

太いタイヤが合っている人は、オールラウンダーと初心者

ファットスリック・ロードバイク/グラベルロードが合っている人は、オールラウンダーと初心者だろう。太くて軽いスリックタイヤは、綺麗な舗装路から荒れた舗装路、そしてグラベルまで対応でき、日本の公道ならこれで殆ど対応できる懐の深さがある。また、スポーツサイクルに不慣れな初心者なら太いタイヤのほうが安心して走ることができるだろう。

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