街中を走っているタクシーといえばセダンタイプが一般的だが、2017年現在、タクシー専用車を販売しているトヨタ・日産にはセダンタイプのタクシー専用車は存在しない。トヨタ・ジャパンタクシー、日産・NV200タクシー共にミニバンタイプのタクシーとなっている。
http://toyota.jp/jpntaxi/
https://biz.nissan.co.jp/SPECIAL/NV200TAXI/
ミニバン型タクシーに近い形と言えばイギリスのロンドンタクシーが有名だろう。トヨタのジャパンタクシーはロンドンタクシーに似た形状だが、乗降性を追求しながら頭部のスペースを広くし、運転席に座ってもボンネットを見えるようにしないといけない・景観に合うように保守的なデザインを採用したので、ワンモーションフォルム(ボンネットとAピラーが続いた形状)はできないのを考えると、ロンドンタクシーに似せないようにするのは難しいだろう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%BC
因みにコンセプトカーとして、ミニバンタクシーを提案した会社がある。イタリアのイタルデザイン社はアルファロメオ・ニューヨークタクシーという次世代タクシーを提案している。
この時代のイタルデザインは、ミニバンの元祖と言えるコンセプトカー「ランチア・メガガンマ」を発表している。商用車シャーシのワンボックスカーとは違い、2000~2500CCエンジンを搭載した乗用車のランチア・ガンマの屋根を高くし、居住空間を向上したメガガンマは多くの会社の乗用車デザインに影響を与えているだろう。メガガンマに限らず、70~80年代のジウジアーロのコンセプトカーは、コンセプトカーというよりも預言車に近く、4ドアスポーツカー(ランボルギーニ・マルコポーロ、マセラティ・メディチ等)モダンデザインのレーサーレプリカオートバイ(MVアグスタ・2代目350S)、ミニバンタクシー(アルファロメオ・NYCタクシー)などを見ると、この時代のイタルデザイン社はいかに先見の明があるのかがわかると思う。
ミニバンタクシーが広がれば、自転車生活が広がると思う理由
NV200タクシーやジャパンタクシーが、アルファードやノアなどの従来のミニバンタクシーと違うのは、通常のタクシーとして使用されるのを想定した設計ということだろう。従来のミニバンタクシーは、多人数乗車を目的とした利用に限定した使い方が多く、通常の街中でもあまり見ない。NV200バネットタクシーやジャパンタクシーはセダン型タクシーと同じ使い方を目的としているので、従来のミニバンタクシーよりも普及するだろう。
NV200タクシーはスーツケース4つを縦置きで積むことができ、ジャパンタクシーはスーツケース2つを横置きで積むことが可能なので、輪行袋に入れた自転車を積むことができる可能性は高い。タクシーに輪行袋を積むことができたら、観光や自宅に帰る場合などに役に立つだろう。このようなタクシーが普及したら、サイクリングの可能性が大きく広がるだろう。
NV200タクシーやジャパンタクシーは、車椅子を乗せることができる、室内が広くて楽に乗ることができる、沢山の荷物を積むことができるなどの様々な利点があるため、普及するのは確実だ。通常の日常生活や観光だけでなく自転車生活を送る人にも恩恵を受けることができるだろう。