近年の自転車のジャンルは非常に複雑になっていて、どの自転車を買えばいいかわかりにくい状況となっている。また自転車ブームによりロードバイクでも無理やり砂利道を走ったり、重い荷物を積むなど、設計者の意図から外れた使い方を推奨するメディアも存在する。
自転車のジャンル分けで一番分かりやすいと思ったのが、世界最大規模の標準化団体ASTM規格が定義するUSE CONDITIONSだ。USE CONDITIONSではConditions1~5まで分けていて、使用条件を解説している。これはユーザーに意図する使用条件を超えて使わないようにするためもあるが、その自転車の使用条件やジャンルがわかる副次的効果もある。自分が知る限りではTREKのbike-manual.com、Canyonの取扱説明書、SURLY、All-Cityのフレーム説明書にASTMのUSE CONDITIONSが使用されている。そこで今回はUSE CONDITIONS1~5について解説していきたいと思う。
CONDITION1:舗装路を走るための自転車
Condition1は舗装路を走るために設計され、車輪が常に路面と設置している状態にある。Canyonではロードバイク、タイムトライアルバイク、シクロクロス(個人的にはコンディション2が正しいのではないかと思う)が当てはまるとのこと。TREKでは25ミリ以下のタイヤを装着したロードバイクやトライアスロンバイク、ツーリングバイク、ビーチクルーザーが入るようだ。一般的にCondition1は砂利道やキャリアを装着して走るのは想定されていないモデルが殆どだ。
CONDITION2:舗装路+綺麗な砂利道を走るための自転車
舗装された道路に加え、綺麗な砂利道を走るために設計された自転車はCondition2に分けられるようだ。Condition1では想定されていないジャンプも15cmまでは対応している物が多い。Canyonでは公道用自転車でアーバンバイクやトレッキングバイクが該当するとのこと。TREKはフィットネスバイク、DSシリーズ、低価格のエントリーモデル用マウンテンバイク(820や3000シリーズなどのレクリエーションMTB)シクロクロス車が該当。SURLYでは同じCondition2相当のモデルでも車種によってはジャンプも30cmまでは想定した設計の自転車も存在するため、注釈は見たほうが良いだろう。
CONDITION3:荒れた未舗装路や小さな障害物乗り超えて走るための自転車
Condition3は、1・2に加えて荒れた未舗装路を走る、小さな障害物を乗り超える、散発的なジャンプを行うことができる、いわゆるマウンテンバイク的な使い方を行うためのジャンルだろう。想定されるジャンプは最高60cmが使用想定範囲となっている。CanyonではハードテールMTBやサスペンションストロークが短いフルサスペンションマウンテンバイクが該当し、TREKはクロスカントリーマウンテンバイクが該当するとのことだ。
CONDITION4:非常に荒れた未舗装路を高速走行で走る自転車
Condition4は、Condition3よりも荒れた未舗装路やテクニカルなコースを走り軽いジャンプを頻繁に行っても問題がないジャンルの自転車。クロスカントリーマウンテンバイクよりもハードに走ることが出来るオールマウンテンバイクが該当する。想定されるジャンプは最高120cmが使用想定範囲とのことだが、頻繁にダウンヒルコースなどを走るのは想定されていないとのこと。因みにあまり知られていないがSURLYのシングルスピードマウンテンバイク「1×1」もCondition4に該当する。
CONDITION5:ダウンヒルやジャンプを行うための自転車
Condition5は非常に難易度が高いダウンヒルコースやダートジャンプ等のエクストリームライドを行うための自転車となっている。一番ハードに使われるジャンルの自転車のため、説明書ではフルフェイスヘルメットや特殊プロテクターの装着を推奨している。
今まで見た中で、自転車のジャンル分けが一番分かりやすいと思ったのが、ASTM規格が定義する自転車のジャンル分けだ。日本では知られていないジャンル分けだが日本でも普及するのを期待したい。
(参考サイト)
http://ja.surlybikes.com/info_hole/instructions
https://www.canyon.com/ja/service/downloads/
http://www.bike-manual.com/brands/trek/om/kids/use_conditions.htm