他社とは違う独自のデザインを採用した折り畳み自転車を製造しているTartaruga。そんなTartarugaの中でも評価が高いのがType-S。前後サスペンションに20インチの高圧オンロードタイヤを装着した折り畳み自転車で、走行性能の高さで定評を受けている折り畳み自転車だ。そんなTartaruga Type-Sについてまとめてみた。
Tartaruga Type Sportのインプレッション
タルタルーガType Sportの一番の特徴は設計だろう。写真は身長183cmの自分が乗車した時の場合のハンドル・サドル位置。折りたたみ自転車特有の無理のある設計ではなく自然な乗車姿勢で乗ることが出来る。サドル位置は限界線ギリギリだが、ハンドルはアジャスタブルステムでもう少し上げれそうだ。
フレームには前後にタルタルーガ専用の荷台を取り付ける穴がある。面白いと思ったのはフロントの荷台取り付け用の穴にボトルケージを装着できるアダプターがあり、ボトルケージを装着できることだろう。
フレームにはサスペンションが搭載されている。このサスペンションはマウンテンバイクのように悪路走行するためのサスペンションではなく、舗装路での乗り心地や荒れた道を快適に走るためのサスペンションとなっている。
設計的に折りたたみ自転車のように、折りたたみ性能を求めているわけでないため、色々な部分は走行性能重視となっている。シートポストは通常の自転車と同じで、Kalloy SP-369のゼロスタックタイプ。シートポストのサイズは30.4と少し特殊でシートポスト長は不明。
ハンドルはZOOM AL-155。幅560ミリと狭く、通常のマウンテンバイク用のハンドルよりもアップ気味となっている。似たようなハンドルに、Beam XOBライザーバーがあるが、XOBはZOOM AL-155よりも握る位置が手前にベントしていて、シフトレバーとブレーキレバーの装着に難儀していたのでおそらく違うハンドルだろう。このハンドルのお陰で身長が高い人でもラクな乗車姿勢を求めることが出来る。
ステム位置は上下調整可能で、さらに角度調節が可能なアジャスタブルタイプのためハンドル位置の調整に自由があり、標準仕様で自分の理想のポジションを追い求めやすい自転車となっている。ステムやハンドルの位置を変えることで身長が低い人でも乗りやすい位置を求めることはできそうだ。
ブレーキはキャリパーブレーキを採用している。タイヤサイズは20×11/8(約28ミリ)話した人によると(恐らくタルタルーガのデザイナー)20×13/8を採用していた事もあったらしい。キャリパーブレーキのサイズは、タルタルーガType Sport全車ロングアーチキャリパーブレーキを採用している。
試乗したコースは山下公園を中心に走った。実際の公道のためサイクルモードのようなコースよりもリアルに走らせることができた。
試乗した限りでは感動するほど普通だということ。小径折りたたみ自転車は設計的に何かしらの特徴が持っていることが多い。BD-1スタンダートフレームは、コーナーでの不安定さと、サスペンションの稼働で騙される安定感があり、DahonOEMは20インチ・タイヤ幅1.5インチと太くてもロードバイクよりもゴツゴツとした不快な乗り心地などの問題がある。
Tarutarga Type Sportの走りは700Cのロードバイク並に安定して走らせることが出来る。あれだけタイヤが細い小径車なのに大径車輪の自転車みたいに安定して走れる。但し、タイヤは細く小径のため、実際の段差通過等には注意は必要だ。タルタルーガ・Type Sportは大径車のように乗りやすいので限界まで飛ばしてみたいと思わせた初めての小径折りたたみ自転車だ。
タルタルーガ Type Sportには前後にサスペンションが搭載されている。このサスペンションは乗り心地重視で稼働量が多くて柔らかいのを期待すると肩透かしをくらう。タルタルーガ・Type Sportのサスペンションは必要最低限しか動かなく、オンロード用スポーツ自転車に相応しい。小径車特有の角があり硬い感触の振動を少なくするための機構となっている。前後とも僅かにしか動かなく、角を取るためのサスペンションだと分かる。乗り心地はタイヤが細い700Cの自転車のような感覚。段差の通過や石畳の道では振動はあるがタイヤが細い小径車みたいな不快に感じる強烈なガタガタ感は非常に少ない。
Tartaruga Type Sportのグレードの違い
Tartaruga Type-SにはSD・GT・DXの2つのグレードが存在する。安価なベーシックグレードのSDと、フラグシップモデルのDXの2モデルがある。グリーンサイクルステーションの試乗で、SDとDXに乗ったがどのくらい違うのかまとめてみた。
フロントギアの段数の違い
安価なモデルであるSDはフロントはシングルギアなのに対して、フラグシップモデルのDXはフロントギアは2枚となっている。長距離走行を行うのならDXのほうが後々を考えると良いだろう。
ホイールの違い
エントリーモデルのSDはFormula製の通常のハブを採用したホイールとなっている。一方、DXはシールドベアリング仕様となっている。シールドベアリング仕様のハブは実際にSDと乗って比較するとよく分かる。
シールドベアリング仕様のDXは、普通の大径車輪の自転車みたいに気持よく走ってしまう。DXに乗ってしまうと、SDは加速が悪くて走りが重く感じ、買うのなら高くてもDXを選んでしまう感覚に陥る。
また、Tartaruga Type-Sの中にはGTはドロップハンドルを搭載したツーリングモデルがあるが、これはベーシックグレードのSDにドロップハンドルとフロントダブルギアを装備したモデルだ。
ベーシックグレードのSDで良いが、DXに装備されているシールドベアリング仕様のホイールが欲しいのなら、TYPE SPORTS K.K GCSを選ぶのも1つ。グリーンサイクルステーション限定モデルで、DXに装備されているホイールと同じ物が装備されている。
Tartaruga Type Sportを買う時、DXとSDの2車種に乗って走りの違いを体験したほうがいい。ホイールの違いで走りの違いが大きすぎるためだ。価格を選ぶか走りで選ぶかで後で後悔しないためにも購入前の試乗を薦める。
Pacific Reachとの違い
Pacific Cycles社からはTartaruga Type Sportに似たモデル「Reach」が売られている。現行モデルはReachはよりロードバイクらしさを追求しており、ツーリングモデルのTartaruga Type Sportとはコンセプトが違う。購入する際はコンセプトの違いを確認して買うのがベストだ。
Tartaruga Type Sportの開発秘話
タルタルーガ・エンターテイメントワークス 代表兼、デザイナー 吉松尚孝のブログ(https://tartaruga.xsrv.jp/blog/)では、Tartarugaの話題を中心に様々なエントリが読める。
こちらのブログではTartaruga TYPE Sportの制作秘話も載っている。これによると製造元のPacific Cyclesと良好な関係を築いたことにより、折りたたみロードバイクを開発するプロジェクトに参加したことによって生まれたとのこと。モバイルロードバイクのREACHと差別化を行うため、前後専用キャリアを装備を行うなど、汎用性も持たせたモバイルツーリングバイクとなったようだ。
Tartaruga Type Sportの総評
タルタルーガType Sportは折りたたみ自転車扱いだが、走行性能重視のため簡単に折りたためるわけではない。しかし折りたたんだ状態では通常のミニベロよりも遥かに小さくなる。
Tartaruga Type Sportの最大の欠点は価格。エントリーモデルのSDで16万を超える価格だが、高性能な車輪を搭載しているフラグシップモデルのDXと乗り比べると、走りが悪いと感じてしまうので23万のモデルを購入したくなる。またタルタルーガは専用のオプションがあり、DXを元に荷台や泥除けなど専用部品を購入しツーリング仕様にすると30万円になってしまう場合もある。因みに価格は税別なので別途消費税がプラスされる。
個人的に本気で金をかける折りたたみ自転車を選ぶのなら、Tarutaruga Type Sportは、その中の1台に入るだろう。小径折りたたみ自転車の中では、平均的な日本人の身長に合うことができ、フレームサイズが1つしかないながら、幅広い調整ができるので、走りを追い求めることが出来る。走行性能は大径車輪の自転車に迫るほどでブルベで使う人もいるのを納得するほどの性能を持つ。色々な所で評判が高いTartaruga Type Sportだが、高価な自転車なのでエントリーモデルのSDとフラグシップモデルのDXを比較したり、実際の走行性能は体感したほうが良くできれば試乗したほうがいいだろう。