自転車カスタムの中でも理解不能なカスタムの一つはアップハンドルを装着したロードバイクだ。
Ratio and CのN7は、ロードバイクに無理やりアップハンドルを搭載した自転車だが、ドロップハンドルの装着を前提としたロードバイクにアップハンドルを搭載してもマトモな自転車はできない。
上記の記事にあるRivendell Clem Smith Jrのように本物のアップハンドルの自転車は、ロードバイクよりも鷹揚とした車体となっているのがわかるだろう。
自転車やオートバイなど2輪車の世界では、ハンドルは車体設計を決める重要な部品だ。オートバイの世界では、オフロードオートバイはややアップした幅広のハンドルを装着するのに対し、スポーツ走行を楽しむオンロード用オートバイは幅が狭く低めのハンドルを採用する傾向にある。
もっとも、時代によってはオンロード用のオンロードでも、幅広でアップしたハンドルを採用する事例もある。高校生が大型オートバイに乗る1970年の第1次バイクブームではCB750FOURや650W1スペシャルのような大柄なアップハンドルを装着したオンロード用オートバイが流行した時代があった。そのため、幅広のアップハンドルが似合わないオートバイ(ヤマハ・スポーツRX350やXS650等)まで装着するを得なかったとのこと。
70年代にレーサースタイルを標準装備したオートバイは国産車には存在しなく、一部の外国車の特権だった。MVアグスタ350Sが良い例だろう。
引用 MV Agusta 350 S Ipotesi, Classic Italian Motorcycle
MVアグスタ350S:某氏の弟が嘗て乗っていたオートバイ。70年代の日本車にはフル装備されて無かったセパレートハンドルやキャストホイール、テールカウルをフル装備している。70年代前半の日本唯一の2サイクルレーサーレプリカ、ヤマハ・RX/DXシリーズよりもレーサー風のスタイルとなっている。新車価格は約30万円とCB500FOURよりも安いため、外車入門用オートバイの扱いだった。
引用:Honda CB 500 Four – Wikipedia
アップハンドルを装着した70年代のオンロードバイクだが、コンチネンタルハンドル等の低めのハンドルに交換すると雰囲気が変わり本質が見える。現役時代では高校生・警察・プレスライダー御用達のドリームCB500FOURはアップハンドルが標準装備されているが、写真のように低めのハンドルに交換すると、スポーティなオンロード用オートバイという本質が見えてくる。
ロードバイクにアップハンドルをつけるという変な自転車が生まれるのは何故か
ロードバイクにアップハンドルをつけるという変な自転車が生まれるのは、カッコだけしか見ないからだと思う。オートバイで言うのなら、ドコドコと振動が出るバランサーシャフトが無い古典的2気筒エンジン、ハイバックシート、アップハンドルをつければ、どんなオートバイでもハーレーに見えると思っているのと同じだろう。
写真のオートバイはNorton Commando Hi-rider。古典的2気筒エンジン、ハイバックシート、アップハンドルがついているが、誰もがCommando Hi-riderを見てハーレーみたいなアメリカンスタイルのオートバイと思う人はいないだろう。因みにこのCommando Hi-riderは変な改造車に見えるがカタログモデルのようだ。
参考としてアメリカンスタイルのオートバイを挙げてみる。写真のオートバイはHaley Davidson 883。
アップハンドルのロードバイクという謎な自転車が出るのは、恐らくカッコだけ見て似ているようにみえるためだと思う。Norton Commando Hi-riderとHaley Davidson 883では明らかに車体のデザインが違うため容易に区別できる。
しかし、自転車のデザインは区別しにくく似ているように見えるため、本質を無視してハンドルを交換して見た目だけカスタムを行ってしまうのだと思う。特にRivendellのようなアップハンドル車はBlue Lugに立ち寄った時以外は見かけたことが殆どない。
ロードバイクにアップハンドルを付けて、アップライトな姿勢で乗りたいのなら、ドロップハンドルやブルホーンハンドルでアップライトなステムのポジションで乗るのがベスト。それでもアップハンドルを装着したいのならVeno メトロポイントハンドルバーしかないだろう。