近年の値上げのお陰で、今まで安く買えた自転車が高価になり、値段を維持するため質を下げるモデルが登場した。それはサイクルベースあさひのプレシジョントレッキングHで、色々な部分の質が落ち、只のカゴ付きクロスバイクとなった。
フレーム素材はアルミフレームからスチールフレームに変わったが、車体重量は17キログラム以下となっている。ただ、後で述べるが細かい部分が悪い意味で変化している。
ブレーキはキャリパーブレーキ。今までは前後ともVブレーキだったのが、デュアルピボットタイプのキャリパーブレーキに変化。Vブレーキと比べてブレーキはロックしにくく、Vブレーキ特有の片効きが少ないため調整が少なくてすむ一方、制動力はVブレーキと比べて低く、アップグレードは非常にしにくく、部品も高価だ。
ギアは前シングルで後ろは7段変速。街乗り用のギア比。車輪径は700Cでタイヤ幅は32C。シティサイクルよりも少し細い。カゴ付きクロスバイクのため、前カゴ、LEDダイナモライト、スタンドが装備されている。
プレシジョントレッキングHは色々な部分が退化して、ある意味では史上最低のプレシジョントレッキングだろう。例えば変速機の取り付けが、スポーツ自転車の世界では一般的なフレームにある取り付け台座に直接装着する方式から、変速機に装着した爪を車輪のナットを介して装着する方式となっている。そのため、リヤディレイラーの取り付け台座は消え、安物にありがちな方式を採用している。これは、アルミフレーム前のスチールフレーム時代のモデルでも、スポーツ車用変速機をそのままポン付けできたため、退化している。
参考:リアディレイラー交換。アルタス RD-M310 | 走るんですか?
プレシジョントレッキングが色々な部品の取り付け部分が、本格的なスポーツ自転車に採用されている規格から、ルック車などに採用されている規格に変わったのは、精度を落としても機能するからでは?と自分は考えている。
Vブレーキやフレーム直付リヤディレーラーだと、取り付け位置や精度がでてないと、部品の装着位置がずれてしまい適切に機能しないと思われる。キャリパーブレーキは真ん中の穴の精度を出せばよく、爪付きのMTBルック車タイプのディレイラーは、リアディレイラーを直接フレームに装着しなくて良いため、リアディレイラーをフレームに取り付ける場合よりも精度は低くても良いだろう。
要らない部品をくっつけて遊べる貴重なカゴ付きクロスバイクの1つだったプレシジョントレッキングは、今は只のカゴ付きクロスバイクとなった。フレームサイズは3種類あるので乗る必然性はあるが、塗装の質感も低いため、買うのなら在庫で残っているアルミフレームモデルを購入したほうが良いだろう。走行性能を上げる目的の改造欲を満たしたいのなら、ウィークエンドバイクスのほうが、見返りが多いだろう。