自転車はスポーツや趣味、レジャーだけでなく、通勤や通学などの日常生活でも使われている。そんな日常生活で問題になるのがパンクだろう。道に落ちているガラス片や段差でタイヤがパンクすることがあり、帰るのが大変な事もある。そんな問題を解消すると言われているのが「パンクしない自転車」だ。一般的に、パンクしない自転車は夢のような自転車に思えるかもしれないが、本当に夢のような製品なのだろうか。
パンクしない自転車の利点と欠点
パンクしない自転車とは、従来の自転車に採用されている空気入りチューブを無くし、空気の代わりにパンクしないタイヤを装着した自転車だ。このような「パンクしない自転車」は、空気圧の確認しなくても良く、パンクしないという大きな利点があるが、普及することなく最後は消えることが多い。
なぜ、ノーパンク自転車は普及しないのか。一番の問題が走行性能が低いということ。1888年に誕生した空気入りタイヤは、従来のソリッドタイヤと比べて、軽い空気で支えるため軽量化になった。また、タイヤサイドが柔らかくなり、その部分が伸縮するためクッション性が高く、乗り心地も良くなる。また、路面から伝わる振動は一種の「抵抗」でもあり、これが最小限になったことで、高速で長時間走行が可能になった。
ノーパンクタイヤの場合、チューブの中には空気が入っていない代わりに、特殊プラスチックやウレタンなどを入れている。そのため空気入りタイヤよりも性能は落ちてしまう。現在、ノーパンクタイヤは産業車両や電動車椅子など高速走行を行わない乗り物に装着されている。
ノーパンクタイヤのタイプを紹介
ノーパンクタイヤには一般的なホイールを使いタイヤのみを交換するタイプと、車輪とタイヤを一体化したタイプの2種類のノーパンクタイヤがある、一般的には前者が使われており、購入しやすいが乗り心地が悪い欠点がある。後者に関しては乗り心地も良いが、現時点では開発途中で一般販売されていない。
タイヤ・チューブのみを交換する方法
ウレタンチューブを使用する
e-コアという弾力性がある発泡エラストマーチューブを使うことで有名なタイプ。 重量増加は27×1 3/8の場合、約1.6kg/台(e-コア+スペーサー空気チューブ)増加するとのこと。車椅子に使われていることが多いようだ。eコアシステムの発展形として、中空のチューブを使用したe-チューブタイヤというのもある。こちらはeコアよりも軽量なのが特徴だ
http://www.katazen.co.jp/e-core
http://www.katazen.co.jp/e-tube
リペアムゲルを使用する
ゴムとオイルで構成されたリペアムゲルをを満タンに充填して固めたタイプ。こちらはウレタンチューブよりも経年劣化で崩れにくく、形状が保持しやすい利点を売りにしている。特殊ゲルをタイヤに充填する方法のため、様々なタイヤサイズに対応している。リペアムゲルのパンクレス加工を行った場合の重量増加は、26インチの通学車の場合、約+2kgとなる。
http://www.masstech.jp/gel.htm
特殊なプラスチックタイヤを使用する方法
タイヤとチューブを一体化し耐パンク仕様にした物もある。有名なのはTannusで、こちらは高分子ポリマーを採用したソリッドタイヤを使い、従来型のノーパンクタイヤよりも軽量なのを売りにしている。カラフルなタイヤがあるのも特徴と言えるだろう。
ノーパンク専用ホイールを使用する方法
ブリヂストン・エアフリーコンセプト
従来のタイヤをノーパンク化させるのではなく、ホイールが衝撃吸収を行うという構造になっている。筆者が乗った限りではノーパンクタイヤで唯一、空気入りタイヤに近い乗り心地を実現していると感じたほど。欠点は、ホイールの構造を変えないといけないので、専用自転車を用意しないといけないことだろう。また、現時点では市販されていないため購入できない。
ノーパンクタイヤが気になる場合は、できるだけ試乗すべき
2019年では、ノーパンクタイヤは一般的な空気入りタイヤには性能面で叶わない。ノーパンクタイヤは振動が大きいため乗り心地が悪く、車輪の疲労も大きくなるため、スポークが折れやすい話もある。
それでもノーパンクタイヤが欲しいと思ったら試乗するのをお薦めする。かつて筆者は、室内試乗コース(サイクルモード2014)と屋外試乗コース(埼玉サイクルエキスポ)でノーパンクタイヤを試乗したことがある。室内試乗コースでは、走りは少し重く段差の通過は固かったが、普通に走れたが、屋外試乗コースでは、漕いでも進まず、漕がなくても惰性で走る部分が殆ど無く、タイヤが地面にへばりつき、アスファルトの微振動が伝わる乗り心地だった。もし、ノーパンクタイヤを買うなら実際の舗装路での試乗をお薦めする。