岐阜県可児市が、災害時に多目的車両「マルモビ」を自治体間で相互貸与し、避難所設置など迅速な支援を実現するための「マルモビパートナーシップ協定」を締結しました。この協定は、ハイエースベースのキャンピングカー製造で国内首位を誇るトイファクトリーが手がけるもので、全国で初の取り組みです。協定式は2024年10月23日、トイファクトリーの本社で行われ、藤井昭文社長と冨田市長が出席し、車両内で協定書に署名しました。
この協定は、トイファクトリー製の「マルモビ」車両を災害時に相互貸与し、避難所設置や物資輸送などの災害対応を迅速かつ円滑に行うことを目的としています。「マルモビ」は平時にはキャンピングカーとして活用され、有事には家具や座席を取り外して物資輸送モードへと切り替えることが可能な多機能車両です。今後、他の自治体や企業との協定締結も予定されており、全国的なネットワーク構築が期待されています。
さらに、災害時のトイレ問題に対応するため、トイファクトリーは水を使用せずに利用できるポータブルトイレ「クレサナ」を可児市に寄贈しました。「クレサナ」は、スイス製の革新的なトイレで、排泄物を密閉パックに封入して家庭ごみとして廃棄できる特徴があり、水や下水インフラが整っていない災害時に効果を発揮します。2024年1月には、このトイレを搭載した「マルモビ」が石川県珠洲市の地震被災地で活用され、特に女性専用のトイレとして設置されて注目を集めました。
トイファクトリーの藤井社長は、今回の協定について、「災害大国である日本において、災害時の備えが不足している地域が多い現状を踏まえ、この協定が国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)の一助となることを願っています」と語り、全国での取り組み拡大に意欲を示しました。一方、冨田市長も「クレサナトイレとマルモビが他の自治体との連携を通じて日本全体の災害対応力の向上に寄与することを期待しています」と述べました。
「マルモビパートナーシップ協定」は、日本RV協会が加盟する全国のキャンピングカービルダーによる支援の経験から生まれたもので、特に「トイレ問題」の解決が急務とされています。従来の汲み取り式トイレでは、汲み取り車の遅延で使用不能になるケースが多発しており、「クレサナ」はその課題に対処する革新的な解決策です。
トイファクトリーは、車両の柔軟なモード切替機能や、ポータブルトイレのオプション追加を通じて、自治体や法人と連携しながら、災害に強い地域づくりを進めています。同社はキャンピングカー市場のみならず、ドクターカーやペット用特殊車両など、利用者ニーズに応じた多用途車両を手がけており、今後も地方自治体や民間企業との協力体制を強化する予定です。
平時活用、有事機能発揮を形にしたマルチパースモビリティ「MARU MOBI(マルモビ)」|キャンピングカー専門店のトイファクトリー (toy-factory.jp)