日産自動車、ワンボックスカー「キャラバン」を活用した車中泊体験の実証実験に関する取り組みレポートを公表

日産自動車株式会社は、2023年3月28日(木)に「2023年度(令和5年度)日産キャラバン 車中泊体験の実証実験に関する取り組みレポート」を公表しました。

2022年(令和4年)、日産自動車と茨城県高萩市は「車中泊体験の実証実験に関する協定」を締結し、実証実験を実施しました。その後、全国各地の自治体・DMOから声がかかり、2023年度は北海道上川町とClan PEONY 津軽(青森県:地域連携DMO)の2つの地域で取り組みを行いました。

日本各地では、空き家の増加、宿泊施設の老朽化や不足、市街地からの2次交通の不足など、さまざまな課題が山積みになっています。また、コロナ禍収束後は観光コンテンツの活性化や差別化が求められています。そこで、新たなレジャースタイルとして注目を集めている「車中泊」を活用し、地域の観光課題を解決する観光プランの創出を目指しています。

2023年度は、北海道上川町とClan PEONY 津軽の2つの地域で、個別・特有の課題に向き合いながら、潜在する観光名所、自然資産、アクティビティの洗い出しを行い、「実証ツアー」という形で取り組みを実施しました。

北海道上川町と協力し、「通年型山岳リゾートタウンの実現」を目指した車中泊体験の実証実験では、一般参加者向けのモニターツアーを実施。「アクティブ」と「チルアウト」の2種類のツアーを設定し、滞在時間の異なるニーズに対応しました。また、上川町ならではの「きこり」「マタギ」「ラフティング」体験や「ジビエ」を用いた人気レストランでのディナーを組み込みました。

モニターツアーには95件の応募があり、女性からの応募が想定より多く、夫婦での参加希望が6割を超えました。応募者の多くは、日産自動車発信のメールマガジンやネットニュースをきっかけに参加を決めたとのこと。

参加者からは、上川町の大自然でのアクティビティや地元の方のおもてなし、住民との交流が好評でした。日産キャラバンについても、「楽に運転できた」「室内が広く、荷物が積める」など、サイズ感が高評価を得ました。一方で、車中泊スポットのトイレの距離や子供向けの配慮などについて、改善の要望もありました。

上川町の担当者は、今回の取り組みにより「コトを起こす原動力を獲得」「車中泊を軸としたコンテンツの開発」ができたと評価。また、日産自動車との協業により、日産ファンの獲得やメディア露出の増加など、思いもよらない効果もあったとのことです。

青森県の地域連携DMO「Clan PEONY 津軽」と協力し、車中泊体験の実証実験では、一般参加者向けに6種類のモニターツアーを実施。歴史、アート、自然、アクティビティなど幅広いジャンルのツアープランを用意し、2泊3日の連泊プランも設定しました。また、ツアー参加者や地域住民に向けて、のぼりやポスターを掲出するなどのインナープロモーションも行いました。

モニターツアーには142件の応募があり、首都圏・関西圏・中部圏の在住者からの応募が半数を占めました。年代別では50代・60代からの応募が半数を超え、次いで40代からの応募が多かったとのこと。

プラン別では、「白神山地堪能」「歴史探訪」「農業・漁業体験」が上位を占め、車中泊やアウトドアと親和性の高いツアー内容が選ばれました。また、女性には「津軽鬼コ巡り」や「白神山地堪能」が人気だったそうです。

参加者からは、津軽地域ならではの旅情や絶景、農業・漁業体験、地元の風習や商業の成り立ちを学べる内容が好評でした。日産キャラバンについても、「テント泊よりも便利な車中泊体験ができた」「ベッドのクッション性がよく、熟睡できた」など高評価を得ました。一方で、事前の情報提供やクルマの使い方レクチャーなどについて、改善の要望もありました。

Clan PEONY 津軽の担当者は、今回の取り組みにより「全国DMOとの差別化ができた」「津軽地域を全国区にするきっかけになった」と評価。また、ツアープラン作成の過程で、地域の魅力や関係事業者とのネットワーク構築の重要性を再認識できたとのことです。今後は、参加者の声を元に、地域活性化に向けた仕組みづくりを検討していくそうです。

2023年度に北海道上川町とClan PEONY 津軽(青森県)の2つの地域と協力し、車中泊体験の実証実験を行いました。この取り組みを通じて、体験者、自治体・DMO、日産自動車の三者それぞれにとって、新たな発見や成果があったようです。

体験者にとっては、これまで味わったことのない体験や行ったことのない場所を訪れることで、「新しい観光・レジャースタイル」の獲得につながりました。また、「移動」と「宿泊」を兼ねたクルマの利便性を発見する機会にもなりました。

Screenshot

自治体・DMOにとっては、単独では実現しにくい課題解決のきっかけづくりになったほか、日産自動車の持つ「PR発信力、ブランディング力、運営力」を習得する機会になったとのこと。

日産自動車にとっては、興味関心層・検討層へのさまざまな使用シーンなどの「新たな情報発信機会の創出」と「地域貢献」へのきっかけづくりになったようです。

各地域に潜在する課題への取り組みが、今までにない「アクション」や「成果」を生み出せる機会となり得ることが、今回の実証実験で明らかになりました。

日産自動車は、全国各地の課題は千差万別で一筋縄では解決できないと認識しつつも、2022年度の茨城県高萩市に続き、2023年度は北海道上川町とClan PEONY 津軽との取り組みを通じて、何かヒントになることや解決の道筋を見出そうと努めてきました。

今回の取り組みでも、「移動」と「宿泊」を担える日産キャラバンが、「2次交通」や「宿泊施設不足」の課題解決の可能性を持つことが確認できたとのこと。

日産自動車は、少しでも課題解決のきっかけになればと考え、さらなる取り組みの拡大を目指していくとしています。

関連記事

編集

Eバイクや電動アシスト自転車、自動車、アクティビティなどを紹介しているWebメディア。「Eバイク事始め 次世代電動アシスト自動車がよくわかる本」が好評発売中。

当サイトはアフィリエイト広告を採用しており、掲載各社のサービスに申し込むとアフィリエイトプログラムによる収益を得る場合があります。

spot_img
spot_imgspot_imgspot_img