電動キックボードで話題となっている特定小型原付。16歳以上なら免許不要で運転できる乗り物で、電動キックボード=特定小型原付という流れになっているが、実は電動キックボードだけでない構造でも問題ない。この特徴に目をつけて、ペダル付き電動原付(モペット)のペダルを外して、特定小型原付化を行う事業者も存在する。
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しかし、電動アシスト自転車やペダル付き電動原付の特定小型原付化を行うと、自走で移動するしかなくなる。電動アシスト自転車やペダル付き電動原付のバッテリー容量は、電動オートバイと比較すると容量が少なく、漕がないで自走を行うには容量が足りない。
そのような事を考えると、電動アシスト自転車やペダル付き電動原付の特定小型原付化を行うのなら、電動オートバイや電動スクーターの特定小型原付化を行ったほうが良いだろう。
道路交通法施行規則で定める特定小型原付の基準は、車体の大きさが、長さ190センチメートル以下、幅60センチメートル以下で、車体の構造が、原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いること。時速20キロメートルを超える速度を出すことができないこと。走行中に最高速度の設定を変更することができないこと。AT機構がとられていること。道路運送車両の保安基準第66条の17に規定する最高速度表示灯が備えられていることが必要だ。
電動スクーターが数多く売られている中国では、コンパクトな電動スクーターが売られている。このようなモデルは、車体サイズもそれほど大きくないため特定小型原付の枠組みに入れることができる。写真のモデルはモーター出力も最大500W、クランクを外して(中国では自転車扱いにするためにクランクを装着している電動スクーターがある)小変更を行えば、特定小型原付にすることは容易だと思う。
因みに特定小型原付の規定サイズは意外と大きい。PCXのサイズは全長193.5センチ、全幅740センチで、フェンダーなどを少し削ってハンドル幅を無理やり狭くすれば特定小型原付のサイズに収めることができる可能性がある。
特定小型原付といえば、電動キックボードやペダル付き電動原付の特定小型原付化が主流となっているが、電動キックボードは不安定で立ち乗りスタイルのため長時間運転するのが難しい、ペダル付き電動原付の特定小型原付化はバッテリー容量が少ないためちょい乗りしかできない。一方で電動スクーターや電動オートバイの特定小型原付化なら、車体は大きいため座り心地がよく大型バッテリーにより長時間走行できる。またスクータータイプならメットインスペースがあるのでちょっとした物を入れることができる。安全面や性能面を考えると、特定小型原付は電動スクーターや電動オートバイの特定小型原付化が中心になるのではないだろうか。
文:松本健多朗