オランダのハイテクEバイクメーカー「Vanmoof」経営危機に 資金調達の失敗で破産する可能性も

オランダのメディア「NRC」は2023年7月12日、アムステルダムの地方裁判所は自転車ブランド「Vanmoof」が支払停止になったのを認め、2名の管財人を任命したとの記事を公開しました。

画像出典:https://www.vanmoof.com、以下同

支払停止とは、企業が倒産を回避するために債権者から一時的に保護しようとするのを助けるように設計された特定のシステムです。オランダのHet Financieele Dagblad(FD)によると、同社はKOGAやHAIBIKE、Lapierreなどの自転車ブランドを保有しているアクセルグループや、GAZELLE、GT、SANTA CRUZ、Cannondaleなどのブランドを保有しているPonグループにアプローチを行いましたが失敗したとのことです。

Vanmoofは、新規の資本注入が決裂した結果、火曜日夕方にアムステルダムの裁判所に支払い猶予を申請して認められました。

水曜日にアムステルダムのVanmoof本社を含むヨーロッパの数十の店舗を全て閉鎖し、インターネット上では、修理のために持ち込んだ自転車を受け取ることができない顧客がドアの前で待っている写真を見ることができます。

裁判所は管理者を任命し、今後、新規の注文や新たな融資等、重要な決定について管理者の許可が必要となるとのことです。

2009年に設立されたVanmoofは、当初は洒落たデザインを採用した人力自転車を製造。その後、2016年に、アプリと連動し、盗難防止装置などが搭載したハイテクEバイク(電動アシスト自転車)を発売しヒット。ここ数年、同社はEバイクのみの製造に専念しています。

Vanmoofは新型コロナウイルス感染症が大流行した時に大きく成長し、2021年の売上高は前年比29%増の8300万ユーロに達しました。生産能力を拡大するため、同社は継続的に多額の投資を行いこれまでに数回のラウンドで約2億ユーロの資金を調達しています。

売上は急増し、2020年から2021年にかけて、売上高は29%増の8300万ユーロに達したとのことですが、金利上昇により資金調達が難しくなっているとのことです。

また、Vanmoofは、Eバイクの部品に関してほとんど自社で設計していますが、この方針により故障が頻発しています。2021年までに同社は修理と保証で800万ユーロの損失を出しただけでなく、アフターサービスが十分に対応できなかったため、修理のために数カ月待つなどのトラブルがありました。

このような問題により、2019年には約600万ユーロ、2020年には3500万ユーロ、2021年には約8000万ユーロの純損失を計上していますが、Vanmoofは投資家からの新たな資本注入によって運営を続けてきましが、このような事態になったとのことです。

Vanmoofは同社の経営陣と管財人が活動を継続できるような解決策を見つけるために動いているとのこと。現在、VanmoofブランドのEバイクを購入することはできません。仮に、Vanmoofが経営危機から脱しても、現在は様々なブランドから、Vanmoofと同等かそれ以上のハイテクEバイクが販売されており、非常に辛い戦いとなるでしょう。

仮に同社が倒産した場合は様々な問題が待っています。Vanmoofに使われている部品は、ブレーキやハンドルなどVanmoof専用の部品が装着されているため、維持し続けるには他社が生産を引き継がなければなりません。また、Vanmoofの鍵はスマートフォンアプリなどを使う必要があるため、同社が倒産して会社を引き継ぐ所がいない場合は、スマートフォンアプリが消滅し、VanmoofブランドのEバイクは動かすことができなくなります。今後の動向に注視する必要があるでしょう。

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