近年、高齢者の移動手段に関する問題が話題となっている。この問題に関しては、公共交通機関から自動車、自転車まで総合的に考える必要があるが、今回は自転車に照準を当ててみよう。
免許が無く、気軽に運転できる自転車だが、一番の問題が一般的な自転車と言えば2輪車タイプがほとんどで、低速走行の安定性が低い所だ。このような問題を解決するために、少なくない会社が力を入れている。今回は日本で購入できる高齢者向け自転車を紹介する。
シニア向け自転車/シニア向け電動アシスト自転車
電動ユニットが無いシニア向け自転車は軽量で低価格という利点がある。このようなシニア向け自転車は、軽い力でも漕げるようなギア比を採用したり、フレームを下げることによってまたぎやすい設計になっている。
世界でムーブメントとなっている電動アシスト自転車にも高齢者向けタイプはある。大手自転車ブランドでは、ヤマハ、PAS SIONシリーズやブリヂストン・フロンティアラクット等が有名だ。
このような電動アシスト自転車は、一般的なシニア向け自転車と同じようにまたぎやすい車体設計を採用している。また、車種によってはシンプルでわかりやすいスイッチを採用している物もある。
3輪自転車/3輪電動アシスト自転車(後ろ2輪タイプ)
一般的な2輪自転車の欠点は低速時の安定性が低い事。その問題を解決する方法の1つに3輪自転車がある。3輪自転車には様々な種類があるが、大手自転車ブランドで採用されている物では前1輪、後ろ2輪タイプだろう。このタイプの自転車は、車体前半部がスイングする機構を装備しており、車体をバンクさせることで遠心力に対抗しながら曲がれるため、コーナーを曲がる時は従来の自転車に似たような感覚で走行できる。低速走行での安定性を重視しているタイプの3輪自転車のため、スイング機構を固定している状態でスピードを出すと転倒の恐れがあるので注意しよう。
三輪自転車の走行特性に注意-高齢者が転倒し骨折した事例も-:http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190314_2.html
KAITO
軽トラックを使用していた年配者が、年齢とともに諸事情で運転させてもらえなくなる人が多くなり、あらたな高齢者向けモビリティとして考え出されたのが「KAITO」。大手の電動アシスト3輪自転車よりも重い荷物を運べ、シニアカーのように方向指示器やストップランプが装備している電動アシスト3輪自転車だ。
3輪自転車/3輪電動アシスト自転車(前2輪タイプ)
3輪自転車の中でもマイナーなのが前2輪タイプ。3輪車の中でもマイナーなタイプで、後ろ2輪タイプの3輪車よりも、ステアリング関連が複雑になる問題がある。しかし、近年では前2輪でも安定して走行できる自転車が登場している。
ブリヂストンサイクル・ミンナ
ブリヂストンサイクルのミンナは、低速走行に特価した3輪自転車。足をつかないで止まれる利点がある。構造的に車体をバンクさせることで遠心力に対抗しながら曲がることができないため、高速走行は想定されていない。最高速度5km/hでの設計の自転車だ。
豊田トライク
荷物や人を乗せることができる次世代の電動アシストモビリティ「豊田トライク」。高い安定性をもたせた特殊なステアリング機構を採用し、乗り心地と非常に安定したハンドリング性能を両立した。停車状態では自立しないが、サドルの高さが低くても、楽に漕げる設計を採用している。
豊田トライク・LWL
豊田トライクの中でも高齢者向けに特化したのがLWL。後輪に補助輪タイプのシンクロシステムを採用したモデル。カーブを曲がるときでも自然なハンドリングを実現した。
電動アシスト4輪自転車けんきゃくん
自転車版のセニアカーと言えるのが電動アシスト4輪自転車「けんきゃくん」。停止時にも足をつかなくても良く、電池が切れても走行できる高齢者向けの自転車だ。