オートバイ用品ブランドで有名なDAYTONA(デイトナ)が、オリジナルブランドの電動アシスト自転車(E-Bike)「デイトナポタリングバイク」を展開している。
デイトナポタリングバイクは名前の通り、街乗りやポタリング用途に特化しているE-Bikeを展開している。同ブランドのE-Bikeには多機能ディスプレイやスマートフォン接続機能、高出力・高トルクのミッドドライブユニットなどは装備されておらず、シンプルな1モードのみのアシスト機能、洒落たデザイン、電動アシスト自転車の中では求めやすい価格を実現しているのが特徴だ。
今回レビューするのはデイトナポタリングバイクの中で一番高価なDE01Xをレビューする。価格は27万3800円(税込、以下同)。
DE01をカスタムしたようなデザインを実現したDE01X
デイトナポタリングバイクの特徴が、バッテリーをあえて鞄のように見せている事。電動アシスト自転車で重要な部品であるバッテリーは、その大きさから、目立ってしまうという問題があり、一般的にはバッテリーをそのまま見せる、バッテリーをフレーム内に入れることでスッキリしたデザインを採用するのが多いが、デイトナポタリングバイクは、バッテリーを後部に装着してサドルバッグのように見せるのは珍しい。
モーターはリアインホイールモーターで出力は250W、最大トルクは不明。DE01と同じモーターを搭載しているが、アシストチューニングはDE01とは違うチューニングを採用している。バッテリー容量は現行モデルに関しては36V、9.6Ahで容量345Whで現行モデルのDE01と同じ容量だ。バッテリーの価格は5万1150円。
DE01と同じく、折り畳みヒンジをチェーンリング反対側に装着してクランク側のデザインを綺麗にまとめるなど、DE01の拘ったデザインに加え、落ち着いたカラーリングや、DE01よりも一回り大きい20インチホイール(ETERO451サイズ)や、シルバー塗装のディープリム、油圧ディスクブレーキを装備することで、DE01よりも高級感があるデザインを実現した。
DE01Xのハンドルまわりは、スイッチやディスプレイがない。これはデイトナポタリングバイクシリーズの特徴で、利点はスイッチやディスプレイが無いので故障リスクが少ないこと。特に、折りたたみ自転車の場合、ハンドルと車体が干渉するため、スイッチやディスプレイと車体が衝突して壊れる可能性がある。欠点はディスプレイが無いと、速度や走行距離がわからないことだ。
折りたたみサイズは横90×高さ66×奥行39センチ、重量は17.2キロ。DE01よりも折りたたみサイズは少し大きく、重量は僅かに軽い。参考としてTern Vektron N8は、79×72×38センチ、重量21.5キロとなる。
DE01よりもスポーティな走りを重視したDE01Xの走行感
電動アシスト自転車やE-Bikeを購入する際、気になるのが乗り心地だ。デイトナポタリングバイク DE01Xの走行感は、人力自転車のような”漕いでいる感覚”を重視したチューニングを採用している。そのため、変速を適当に行いモーターの力に頼った走りを行うのは難しいが、自然で楽しい漕ぎ味を求めている人には良いだろう。
アシストチューニングは、DE01シリーズのエントリーモデルであるDE01と比較すると、アシストの盛り上がりはDE01の方が大きい一方、時速15キロ以上でペダルを踏んだとき、アシストのフィーリングに”伸び”がある感覚があり、DE01よりもスポーティな走行感が楽しめる。
気になるのが、リアインホイールモーターと後部に装備したバッテリーのおかげで、後輪に荷重がかかりすぎる感覚があること。パンク防止のために普通の自転車よりも頻繁に空気を入れたほうが良いだろう。タイヤサイズは20×1 1/8インチでKENDA製のロードタイプのタイヤ(KRITERIUM)を装備。通常のスポーツ自転車用タイヤを装備しているが、DE01Xは後輪にモーターがあり、さらに後ろにバッテリーが搭載されているため、後輪に荷重がかかりすぎている。そのため、少しでもタイヤの空気圧が少なくなると、リム打ちパンクが発生しやすい。これは、DE01Xに搭載されているタイヤが、E-Bike用のタイヤではないため、タイヤ強度が弱くて潰れやすいのと、後輪にバッテリーとモーターという重量物があり、荷重がかかりすぎているため。
日本国内では20×1 1/8インチ用のE-Bike用タイヤは無いため、改善点としては、もう少し太めの20×1 3/8インチ用タイヤを装着したほうがパンクリスクは少なくなるだろう。この件に関しては、DE01Xを製造しているデイトナ側も、パンク率が高いと認識しているらしく、パンクに強いタイヤやサイズを太くするなどタイヤをテストしているが、タイヤ重量が重くなるため車両の軽快感が無くなり、軽快感が感じなくなったため、このタイヤを採用しているとのこと。可能であれば軽くてパンクしにくいタイヤを装着したいが、DE01Xのタイヤは選択肢が無くて難しいという状況だと語っていた。
アシストモードはDE01と同じく1種類しかない。そのため、エコモードにして航続距離を伸ばしたり、パワーモードにして坂道をより楽に走るということはできない。バッテリーを限界まで活用してロングライドを楽しむのには向いていないだろう。
平地での走行する際、DE01Xは踏んだときの伸び感をさらに強調したアシストと、細いタイヤを採用しているので、時速22キロから24キロぐらいで軽快に漕いで走るのが合っており、平地では時速24キロで走行しても面白いと感じる。これは、下位モデルのDE01には無い感覚で、平地を走っても面白い折りたたみE-Bikeというキャラクターを持っている。
上り坂に関しては、緩い上り坂では特に不満はないが、一般的な軽自動車やコンパクトカーが一番低いローギアで上るような峠道では、DE01と同じくギア比が重いためパワフルに上れる感覚は無い。デイトナポタリングバイクDE01Xのギアは前53T、後ろ11-28T。通常の人力折りたたみ自転車ならこれでも良いと思うが、モーターアシストのパワーの出し方を考えると、急坂では重いと感じる。特に長い坂道を走る場合、スポーティに走行しようと思い、軽いギアに入れてクルクル漕いで走るとギア比が重いので難しい。
Tern Vektron(Bosch Active Line Plus 定格出力250W、最大トルク50Nm)など、デイトナポタリングバイクDE01Xよりももっとパワフルなモーターを搭載したモデルでも、DE01Xよりも軽いギアを装備しているので、ローギアードを行ったほうが上りでは快適に走行できると思う。
ブレーキは油圧ディスクブレーキを搭載。DE01に搭載されているVブレーキよりも、握った時のタッチが軽いため、街乗りでも安心感が高い。
航続距離に関しては、筆者が借りたDE01Xは9.6Ahバッテリー(容量345Wh)で、最新モデルとなる。街乗りやサイクリングロード、峠を走行した感覚では、一般的な道を1日で走るのなら最大60キロ程度を走るのが良いだろう。これは、運転中にバッテリー残量を見ることができないため、バッテリーの減りを把握しにくく、アシストモードが1つしかないので、航続距離を伸ばす技ができないなどの理由がある。ただ、ポタリングバイクというキャラクターを考えると、問題ないと思うだろう。
DE01Xは”豪華でスポーティなDE01”が欲しい人向け
デイトナポタリングバイクDE01Xに合っているユーザーは、同ブランドのDE01のデザインが好きで、ポタリングバイクというキャラクターを理解している人だ。
DE01の価格は27万8000円だが、あと数万円加えると、Tern VektronシリーズやBESV PSF1など、サイクリングを主力として楽しむ本格的な折りたたみE-Bikeが購入できる。
Boschモーターを搭載し、液晶多機能ディスプレイ「Kiox」や、大容量500Whバッテリー「PowerPack500」の搭載が可能な「Tern Vektron N8」(31万7000円)や、折りたたんだ状態で転がし移動できる「BESV PSF1」(29万8000円)は、デイトナポタリングDE01Xよりもパワフルなモーターを搭載し、複数のアシストモードを搭載しているので、バッテリーの消耗を抑えて走れば、場所によっては航続距離も80キロ以上を狙うことが可能だ。
また、2022年秋発売予定車種では、BAFANG M200(定格出力250W、最大トルク65Nm)を搭載したESR VENTIも強力なライバルになるだろう。
DE01Xは、Vektron N8やPSF1と比較すると、アシストのパワーや機能を比較すると、物足りない部分がある。アシストモードを複数用意して、場面によってアシスト力を切り替える事ができるようにするなど、商品力強化を行い、幅広いユーザーを取り込む必要があるだろう。
デイトナポタリングバイク DE01Xのスペック
- フレーム:アルミ
- フロントフォーク:アルミ
- 重量:17.2キロ
- ブレーキ:油圧ディスクブレーキ
- ギア(前):ツーピースタイプ(中空)/53T
- ギア(後):11-28T マイクロシフト 外装9段変速
- フロントホイール:20インチ
- リアホイール:20インチ
- タイヤ:KENDA KRITERIUM 20×1-1/8(28-451)
- ドライブユニット:リアインホイールモーター
- アシスト方式:リアインホイールモーター
- バッテリー:36V 9.6Ah 356Wh
- 充電時間:5~6時間
- アシストモード:
- 航続距離:70km