通勤やレジャー用だけでなく、様々な業務用車両としても注目されているE-Bike (電動アシストスポーツ自転車)。従来の自転車やオートバイよりも静かで小回りが効くため、警察車両として採用している所があるようだ。
クルマ社会で有名なアメリカでは、警察、FB1、シークレットサービスがE-Bikeの導入を行っている。今回は、警察車両向けE-Bikeを展開しているRECON POWER BIKESの事例を紹介する。
Did you know the Secret Service has implemented new environmentally friendly – eBikes? If you see us rolling on our electric wheels be sure to say Hi! pic.twitter.com/Oo9PvMYElc
— U.S. Secret Service (@SecretService) November 9, 2020
なぜE-Bikeを警察車両として導入するのかというと、パトカーよりも幅広い環境で複数の役割を果たすことができ、徒歩移動を行う環境をより速い時間で移動できるため。警察車両としてのE-Bikeは、VIPの保護や、ルートに沿って群集の監視、地方や都市の捜索救助の使用、密集した歩行エリア内のセキュリティ、モールや集合住宅エリアの建物内のパトロールを行うことができる。
E-Bikeを警察車両として使う利点は予算もある。新しいパトカーを装備して配備するためのコストが6万ドルを超えることがあるが、RECON POWER BIKESは同価格で数年間の自転車パトロールユニットを装備、訓練、管理することができると語っている。
RECON POWER BIKESによると、電動アシスト自転車の性能を検証し、都市環境での応答時間を定量的に把握するために、都市環境での実性能試験を実施。この試験は、一般的なパトカーとペダルバイク(人力自転車)のレスポンスタイムを、E-Bikeのレスポンスタイムと比較するタイムトライアルが複数回行われた。交通量の多い時間帯の変動は、パトカーのレスポンスタイムに影響を与える一方、自転車は時間や混雑したエリアの切り抜けは、ほぼ一定だったとのこと。また、交通パターンや歩行者の混雑状況にもよるが、平均して15パーセントから20パーセントのレスポンスタイムが改善。このレスポンスタイムの向上は、危機的な状況において非常に重要な意味を持つ可能性があると謳っている。
E-Bikeパトロールの利点は、地域社会との関係改善、コスト削減、警官の応答時間の短縮、環境面での利点以外にも様々な利点があるようだ。
例えば、従来の自動車を使用したパトロールはライトの点滅、二重駐車、現場に到着してから問題に対処するまでの顕著な待ち時間といったネガティブなイメージがあるが、自転車警官には関係ないため、周辺住民はより協力的になり、話を聞こうとするようになる可能性がある。
また、自転車利用者や一般市民にとっては、自動車でのパトロールを行う警官よりも親しみやすく。このような親しみやすさは、地域指向の警察活動にとって重要で、自転車でのパトロールは、自動車でのパトロールに比べ、一般市民との接触回数が2倍以上に増えるだけでなく、自転車パトロール隊員から法的な事柄や道案内、駐車場情報などについて話を聞いたり、情報を求めたりする傾向があるとのこと。このような積極的な接触は、警察官が「狙われている」という固定観念を打ち消し、地域社会と警察署の信頼関係を確立するための取り組みを強化することにつながっている。
そして、自転車パトロールは隠密性が高いという利点もある。被疑者は、通常、パトカーには注目するが自転車パトロール警官を注目していないため、自転車パトロール警官が被疑者に気づかれなかったという事例があるとのことだ。
静かに移動できる自転車パトロールは、従来の自動車パトロールでは把握できない小さな音や匂いを察知することができるため。五感を駆使して違法行為を早期に察知しやすい。
自転車パトロールの最大の利点が、通常のパトカーが停止するような障害物や危険物を避けながら、迅速に移動できること。大学のキャンパス、自動車乗り入れ禁止区域、車両進入が制限された建物群、絶え間ない工事、あらゆる種類のイベント、テキストを打つ歩行者など込み入ったエリアでは、自動車で通報に対応すると、非常に時間がかかる上、離れた場所にアクセスできなかったり、歩行者やその他の障害物に阻まれたりすることがよくある。このような場所では自転車パトロールは他の地域に迅速に移動することができる比類のない能力を持っている。
自転車パトロールで使用するE-Bikeは、従来のパトカーに比べて、購入費も維持費もパトカーよりもはるかにコストが低く、適切にメンテナンスすれば、何年も使用することが可能だ。ガソリンも不要で、他の車両が必要とするフルサイズの駐車スペースも必要ない。
動力は、ガソリンではなく人力と電気で走るため、パトカーに比べ二酸化炭素排出量が少ない。さらに、自転車パトロール隊員は、自動車隊員よりも健康的で体力がある傾向があります。これは、部署のイメージを向上させ、ドーナツジョークの回数を減らすという副次的な利点もあると謳っている。
RECON POWER BIKESが警察用E-Bikeとして展開しているモデルの1台が「RECON INTERCEPTOR」。26×4インチのファットタイヤに、1000Wのミッドドライブモーター、48Vの556Whバッテリーを搭載している。アシスト可能速度は時速40キロから48キロ。
因みに電動アシスト自転車の法律は、日本の法律では最大出力制限無し、アシスト比制限あり、アシスト可能速度時速24キロまでと決められている。欧州仕様の場合は定格出力250W、アシスト比率制限なし、アシスト可能速度時速25キロまで。アメリカの場合は州にもよるが、最大出力750Wまで、アシスト比率制限なし、アシスト可能速度時速32キロまでとなっており、州によっては親指でスロットルを操作しても大丈夫な場合もあるため、アメリカの法律では電動アシスト自転車は電動モペットの感覚に近い。日本国内で運用する場合は、自転車ではなく原動機付き自転車扱いで、法に準じた仕様に変更する必要がある。
パトロールE-Bikeは取り回しの良さと走破性の高さを活かすことができる。パトロールE-Bikeはアメリカだけでなく日本国内でも参考になるだろう。
関連リンク
RECON POWER BIKES https://www.policepowerbikes.com/
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