電動アシストスポーツサイクル(E-Bike)の特徴は、スポーツサイクル用のアシストユニットが搭載されていること。スポーツサイクル用アシストユニットの特徴は、アシストが切れても軽快にペダルを漕ぐことができるのだ。しかし、そのように言っても本当の所はどうなのか気になる人は多いだろう。今回は、2015年11月にCycloassitで公開した記事に加筆を加えて紹介したい。
スポーツサイクル用アシストユニットと、一般車用アシストユニットの違い
ヤマハ・YPJ-Rに採用されているスポーツサイクル用電動アシストユニット「ヤマハ・PWシリーズ」は、クランク合力方式というタイプでアシストパワーよりも走りの滑らかさを重視している。その一方、従来の一般車用のヤマハ・PASシリーズに採用されている「ヤマハ・PAシリーズ」は、チェーン合力方式というタイプで、アシストパワーが強いのが特徴だ。
気になるのがアシストの違いがどれだけ走りの違いにつながるのかだろう。今回、サイクルモード2015でクランク合力方式(ヤマハ・YPJ-R)とチェーン合力方式(ヤマハ Pas Brace XL)に試乗することができ、両車の違いを比較してみた。
Yamaha Pas Brace XL
発進
発進時のアシストはクランク合力方式は、パワーよりも滑らかにアシストする方式となっている。一方でチェーン合力方式は力強いアシストで、電動アシスト自転車に乗ったことが無い人はこちらの方が電動アシスト自転車らしさはあるだろう。
荷物を積む、子供を載せる場合や市街地では、発進加速の面でヤマハPASが採用しているチェーン合力方式が良いだろう。
アシスト作動状態での巡行
クランク合力方式のYPJ-Rは、必要に応じてアシストを作動させるが、できるだけ足の力で走るセッティングなのに対して、チェーン合力方式のPAS Brace XLは、できるだけ常にアシストを作動させながら走行している感覚がある。
普通に考えたら、クランク合力方式のYPJ-Rは不利に感じるが、ヤマハのクランク合力方式のアシストセッティングが、アシストの強弱を非常にわかりにくくしているためアシストが弱まる高速域でも走りやすい。
逆にチェーン合力方式では、アシストの強弱にメリハリがあるため、アシストがよく効く低速域では走りやすい一方でアシストが弱まる高速域では、アシストが弱まる場合では一気にアシストが弱まるため足が重くなり走りにくいため、できるだけアシストを効かせた状態で走るようなペダリングを行いたくなる。
Yamaha YPJ-R
アシストが切れた状態での巡行
クランク合力方式のYPJ-Rは、アシストの強弱をわかりにくくしているためアシストが切れても走りやすい一方、アシストの強弱にメリハリがあるチェーン合力方式のPas Brace XLは、アシストが切れると一気に走りが重くなる。このおかげでアシストが切れた場面ではYPJ-Rと比べるとキツク感じてしまう。
走り重視のYPJ-R 街乗りスペシャルのPas Brace XL
電動アシストユニットの特性だけで見ても、電動アシスト自転車でサイクリング的な走りを重視したい人は間違いなくYPJ-Rが良いだろう。ただ市街地ではPas Brace XLの発進時のパワフルさは魅力的だ。アシストユニットだけでなく車体特性から見てもPas Brace XLはMTB風の設計やライトの標準装備、荷台や泥除け・カゴが標準装備できるため街乗りスペシャルとして使うのならPas Brace XLが便利だろう。
スポーツサイクル用アシストユニットはメーカーによって特徴が違う
スポーツサイクル用アシストユニットの基本である、アシストが切れても軽快にペダルを漕げることは、ヤマハ以外の他社のアシストユニットでも同じだ。しかし、アシストのパワーや音の強弱・音質、高ケイデンスでのはメーカーによって違う。電動アシスト自転車に乗る時はこのような点に注意して乗れば違いがわかるだろう。