自転車はエンジンを使わないで人力で走ることができる利点があるが、一方で脚力が弱い人には速度が出なかったり上り坂が上れない問題もある。そこで自転車の世界では、脚力が弱い人にも楽に乗れるようにするため様々なアイデアが登場した。そのような脚力が弱い人でも乗れるようにするための一番のアイデアはアシスト機構を搭載したことだろう。
自転車にアシスト機構を搭載した事例は主に3つある。1つ目がエンジンでアシストを行う方法だ。既存の自転車にエンジンを装着してアシストを行う方式で、現在の原動機付自転車の始祖ともいえる物だ。日本ではスーパーカブの登場により、原動機付自転車は日本で一番簡単に乗れるオートバイという扱いになったが、ヨーロッパではペダル付き原動機付自転車(いわゆるモペッド)は、ヘルメット無しや無免許で運転できるモデルがあるなど規制が緩かった。2013年には50CCの原動機付自転車で時速45km/hまで出る原動機付自転車(50cc)は免許が必要になり、かつて存在していたペダル付き原動機付自転車(モペッド)は新車販売する会社は少なくなっている。
2つ目が自転車にモーターと電池を搭載した電動アシスト自転車。日本では歩道走行の関係から人力100パーセントに対してのアシスト比率が最大200パーセントと弱いが、海外では人力100パーセントに対してのアシスト比率が300パーセントクラスの物があり、高速域でも高アシストがかかる。ヨーロッパでは車体価格30万円以上の電動アシスト自転車が沢山あり、大手企業が覇権を争っているモビリティの1つとなっている。
3つ目が、内燃機関や電動機を使用しないで機械的にアシストを行うこと。今回紹介するFREEPOWERのクランクがその中の1つに入るだろう。
FREEPOWERの構造とは?実際に試乗した感想は?
FREEPOWERの構造を簡単に説明すると、踏み出し時にギアの内部に配置された特殊合成シリコンが圧縮され、ペダル回転時の6時-12時の位置に発生するパワーロス部でシリコンが反発することで、動力に変換する機構となっている。この機構によりエネルギーロスを抑え、スピードとパワーをもたらすとのことだ。内部のシリコンは3種類の硬さがあり、脚力や好みに合わせた硬さにすることができるようだ。
今回、プレミアムライドインプレッション2018でFREEPOWERを搭載したクロスバイクとロードバイクに試乗した。最初に乗ったクロスバイクはシリコンの硬度が中間の物を採用しており、自分にとってはゴムが柔らかくてグニュとした感触がペダルに伝わった。クロスバイク試乗後、直ぐにロードバイクに乗ってみたが、こちらは一番硬いシリコンを装着していたためか、ゴムが柔らかい感覚は無かった。
FREEPOWERの効果はあったのか無かったのかと聞かれたらあると思うが、ストップアンドゴーが少ない神宮外苑サイクリングコースにFREEPOWER非搭載車と比較ができないという問題があった。
FREEPOWERは本格的スポーツサイクル用も売り出すのか?今後の可能性は?
現在販売されている、FREEPOWERクランクはシングルギアで最大8段変速までと、本格的なスポーツサイクル用ではない。本格的なスポーツサイクル用のクランクについて聞くと、需要があったら作りたいと語っていた。個人的にはロングライドやサイクリング、ポタリングでもFREEPOWERクランクは効果があると思うので、スポーツサイクル用のFREEPOWERクランクが登場したら非常に興味がある。
もし、本格的にFREEPOWERを売るのなら、FREEPOWER装着車と非装着車を乗り比べることができるようにする、センサーを装着して試乗時にFREEPOWERの効果が数値でわかるようにする、ママチャリグランプリで本気で勝ちにいく、ロングライドイベントに出場するなど、色々な事を取り組むべきだろう。いつかは実際の公道で比較乗車してみたい自転車部品だ。