グラベルロード/ディスクロードのスルーアクスル規格まとめ

殆どのスポーツサイクルは、工具無しで車輪の着脱を行うことができるクイックリリースレバーを採用しているのが一般的。しかし、最近ではディスクブレーキを採用した車種を中心に、クイックリリースレバーではなくスルーアクスル方式を採用したスポーツサイクルが登場している。

砂利道も走ることができるグラベルロードでは、クイックリリースレバーやスルーアクスル規格が乱立している状況となっている。今回は、グラベルロードに採用されているスルーアクスル規格についてまとめてみた。

クイックリリースレバーについて簡単に解説


スポーツサイクルの車輪を簡単に着脱できるクイックリリースレバーは、スルーアクスル規格と比較すると、オフロード走行の剛性不足や、ディスクブレーキのローターのクリアランス調節がやりにくい欠点がある。マウンテンバイクの世界では、高価格帯のモデルを中心にスルーアクスル方式に変わっている。ただ、サイクルツーリングなど公道使用では容易に車輪が着脱でき、クイックリリース用のアクセサリーやノウハウが多くある利点がある。

スルーアクスルについて簡単に解説


クイックリリース方式よりもシャフトの直径を大きくしたスルーアクスル方式の利点は、オフラード走行時の剛性や強度が確保されていること。現在、レース用マウンテンバイクや、ディスクブレーキ搭載ロードバイクなどはスルーアクスル規格を採用しているのが殆ど。欠点は、クイックリリース仕様で作られたアクセサリーや車載用キャリアなどの互換性がないためアダプターが必要になるのと、シャフトの直径とオーバーロックナット寸法(OLDやエンド幅とも言われている)の規格が統一されていない問題がある。

多くのグラベルロードに採用されているスルーアクスル規格は、オーバーロックナット寸法が前100ミリ/後ろ142ミリ。シャフト直径は前後とも12ミリが、2018年では現在の主流となっている。

グラベルロードには、どのような規格が採用されているのか

グラベルロードに採用されているクイックリリース/スルーアクスル規格は、様々な物がある。前後ともクイックリリースや直径12ミリスルーアクスル規格を採用している車種があれば、前は直径12ミリスルーアクスルを採用し、後ろはクイックリリース規格を採用している車種もあったり、前は直径15ミリのスルーアクスル規格、後ろは12ミリのスルーアクスル規格を採用したモデルまで、様々な物がある。

クイックリリース仕様のグラベルロード

出典:http://www.breezerbikes.jp/2018/product/radar.html

競技用マウンテンバイクやディスクロードの世界では衰退傾向にあるクイックリリース方式だが、クイックリリース方式は汎用性が高い利点がある。クイックリリース方式を採用したアクセサリーや車載キャリアなどを使うことができる。一番の利点はマウンテンバイク用ホイールを簡単に流用できること。今でも、シマノからクイックリリース仕様のマウンテンバイク用ホイールが売られており、フレームの隙間が大きい場合、27.5インチホイールを購入し、650B×47Cタイヤを装着すれば、流行のロードプラス規格を容易に楽しむことができる。

2018年度のクイックリリース仕様のグラベルロードの一例は以下の通り。

    • Jamis Renegade Exile
    • GT GRADE ALLOYシリーズ
    • FELT VR50/60
    • GIANT ANYROAD(アルミフレーム)
    • BREEZER RADAR

 

この中で、Jamis Renegade ExileとBREEZER RADARは、WTB社のROAD PLUS COMPATIBLE FRAMESに記載されているため、ロードプラス規格に対応しているようだ。

前後12ミリスルーアクスルのグラベルロード

出典:https://www.specialized.com/jp/ja/mens-diverge-e5/p/129184?color=239515-129184

現在のグラベルロードで主流なのが前後12ミリのスルーアクスル。クイックリリース方式よりも剛性が高く、前輪スルーアクスルの直径がマウンテンバイクの直径15ミリよりも細い12ミリ規格を採用している。現在のグラベルロードでは主流となっているため、今後の部品供給に期待を持つことができる。欠点は、ロードプラス規格(650B×47C)に容易に変更が出来ないこと。

現在のマウンテンバイクで採用されているスルーアクスル規格の中で、グラベルロードに合わせやすいのは、前は直径15ミリ:エンド幅100ミリ、後ろは直径12ミリ/エンド幅142ミリのマウンテンバイクホイールだ。この場合、後輪は装着可能だが、前輪に関してはスルーアクスルの直径が違うため装着できない。650B化を行う場合、手組みホイールにするのが一般的という意見もある。

2018年度の前後12ミリスルーアクスルのグラベルロードの一例は以下の通り。

  • MERIDA SILEX
  • Specialized DIVERGE
  • FELT VR1~6
  • TREK Crockett 5 Disc
  • Jamis RENEGADE EXPLOIT

 

前12ミリスルーアクスル方式、後ろクイックリリース

一部モデルでは前12ミリスルーアクスル方式、後ろクイックリリース方式を採用しているモデルがある。後輪クイックリリース仕様の利点は、アダプター等を購入しなくてもサイクルトレーナーなどで使用することができる利点がある。後輪スルーアクスル仕様のグラベルロードでも、クイックリリース仕様に変更できる車種もあり、FUJI JARIは前後とも12ミリスルーアクスル対応フレームだが、部品交換で後輪はクイックリリース仕様に変更できる。

2018年度の前12ミリスルーアクスル方式、後ろクイックリリースのグラベルロードの一例は以下の通り。

    • Jamis Renegade EXPAT/EXPLORE
    • Fuji JARI一部モデル(前後とも12ミリスルーアクスル対応フレームだが、部品交換で後輪はクイックリリース仕様に変更できる。)

 

クロモリフレーム版も登場!Fuji Jariシリーズについて解説【2019年モデル】

前15ミリスルーアクスル 後ろ12ミリスルーアクスル

Overlooking Lake Tahoe, August 2017. #gorillamonsoonbike @christinakpeck

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マウンテンバイクで採用されている前15ミリスルーアクスル・後ろ12ミリスルーアクスルを採用しているグラベルロードも存在する。All CityのGORILLA MONSOONは、前直径15ミリ:エンド幅100ミリ、後ろ直径12ミリ/エンド幅142ミリのスルーアクスル規格に対応している。利点はマウンテンバイク用ホイールが装着が可能ということ。GORILLA MONSOONは700Cの場合が42ミリ幅、27.5インチの場合は2.4インチまで対応している。

GORILLA MONSOON | PRODUCTS | モトクロスインターナショナル

その他では、GT GRADE CARBONは、フロントが15ミリスルーアクスル、後ろはクイックリリースを採用していたモデルや、ARAYA CXG(2018)のように、前クイックリリース。リアスルーアクスルを採用したモデルも存在する。

一長一短があるクイックリリース/スルーアクスル規格

クイックリリース/スルーアクスル規格は、様々な種類がありややこしい。クイックリリース/スルーアクスル規格は、コンポーネントのように容易に変更できるものではないため、自転車の使い方を考えて自転車店の店主や自転車に詳しい人と相談したほうがいいだろう。

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